お金があればあるほど、人は幸せになれるのか?
「年収8万ドル(約800万円)を超えると、幸福度は頭打ちになる」。
行動経済学の創始者、ダニエル・カーネマン氏による有名な研究では、こう言われてきました。
つまり、年収800万円までは年収が上がるほど幸せも比例して増すけれど、それ以上になると止まってしまう、と。
けれど最近、この“常識”は覆されたことをご存じでしょうか?
最新の研究では「800万円を超えても、年収が上がれば幸福度も増えつづける」という結果が出ているのです。
やっぱり、お金はたくさんある方が幸せなのか…。なんだか気が遠くなってしまいますね。
でも、リアルでは「お金=幸せ」とは言いがたい実情があります。
私は夜の銀座と、経済レポーターとしての取材現場で、多くの“超富裕層(金融資産5億円以上)”の社長や投資家の方々に出会ってきましたが、皆が一様に幸せそうというわけではありません。いつも不満ばかり口にしていたり、なかには人望を失ってしまっている方もいらっしゃいます。

◆大金を使っても、ホステスに距離を置かれてしまうお客様
夜の世界でも、お金のある男性ほどモテる…ということは全くありません。もちろん、お店で大きなお金を使ってくださるお客様は大切にされます。
ただ、そうしたお客様の中には、飲み方が荒かったり、扱いに気を遣う方もいらっしゃり、お客様がお帰りになったあとは、裏で「今日も乗り切ったね」「お疲れさま」とホステス同士がねぎらい合っているのです。
大金を使っているのに、裏では距離を置かれているなんて、少し寂しい話ですよね。
◆行動経済学的「幸せになれるお金の使い方」3選
では、人に好かれて幸せなお金持ちと、そうでないお金持ちの違いは何か?行動経済学で提唱されている「幸せになれるお金の使い方」3つを、私が見てきた超富裕層の方々のエピソードも添えて紹介します。
①モノではなく経験を買う
ブランド品や高級時計を買った喜びは、その瞬間は大きくても、やがて薄れてしまうもの。
高級車を買っても、もっといい車に乗っている人を見たら、負けたような気分になってしまうこともあるでしょう。
でも、非日常の旅行や新しい挑戦をした思い出は、むしろ年月が経つほど、振り返ることでその価値を大きく感じられます。
私の知る著名な投資家の方は、買い物には興味がなく、世界中の秘境をめぐる旅に惜しみなくお金をかけています。
女性からみても、自慢にも聞こえかねない最近買ったブランド品の話をされるよりも、最近した旅のおみやげ話を心から楽しそうに話してくれる男性の方が素敵です。
上場企業の社長の中には、アマゾンの奥地でトライアスロンに挑戦するなど、チャレンジングな趣味にお金をかける方も目立ちます。
もっと言うと、経験を自分だけでなく「周りの人にもさせてあげる」ことができる人には、ずっと長く、大切な人たちと思い出話を楽しめるという幸せもついてきます。

