
ダイエットでは、基礎代謝の向上が欠かせません。また、基礎代謝を上げるためには筋肉量を増やす必要がありますが、ここで大切なのが「1食あたり20~30gのタンパク質」です。タンパク質と聞くと、肉や魚が思い浮かびますが、もっと手軽に、幅広く摂取できる食べ物があります。それはいったいなんなのか、肥満・脂肪肝の専門医である尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、40代女性の事例をもとにみていきましょう。
〈本記事の登場人物〉
■山口 真理子さん(45歳・女性)
40代半ば過ぎの独身看護師。仕事の忙しさやストレスからくる不摂生な生活がたたり、体重は増加。疲れやすさや体の重さを感じて検査を受けたところ、肥満・肝機能障害・高血圧を指摘されてしまい、肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善を専門とする『スマート外来』を受診することに。医師からは「基礎代謝改善のためにも筋肉量を増やすことが重要だ」と指摘を受けるも、体が重くやる気が出ない……。
タンパク質で筋肉量を増やそう
「真理子さんの検査結果で骨格筋量は13㎏です。女性の平均値は16.4㎏なので、ちょっと少ないですね」
私のように体脂肪率が42%と高めで、筋肉量が平均以下の場合、基礎代謝を上げるためにも筋肉量を増やすことが重要だという。痩せやすい体を作ることにも繫がるそうだ。やっぱり運動なのか……。
「運動もいずれおすすめすることになりますが、ムリなく実践するために、真理子さんの場合は運動よりも先に食事面からお話ししていきますね」
「筋肉ってことは、やっぱりタンパク質ですか?」
「そのとおりです。さすがですね。ムリなく上手に摂っていくために、量の目安を覚えておきましょう。1食ごとに摂りたいタンパク質の量は20~30gぐらいです。例えば肉や魚なら、100g中にタンパク質が約20g含まれています」
「それはわかりやすいです」
「肉や魚以外にもタンパク質が含まれている食べ物があります。どんなものか知っていますか?」
「大豆」にもタンパク質が
頭の中に卵や牛乳が浮かんだ。そのほかに何かあったっけ……?
「タンパク質には植物性のものもあります。代表的なものは大豆がそうですね。豆腐や油揚げ、納豆など、大豆製品にはさまざまな食品がありますから、これらの食品を積極的に組み合わせて摂るとよいでしょう」
「なるほど。大豆にはどれくらいのタンパク質が含まれているんですか?」
「豆腐なら3分の1丁、納豆1パックで約7gです。そのほかに、卵1個、乳製品だと無糖のヨーグルト150gにも約7g。これらの食品から3つを選んで食べると、タンパク質21gが摂れます」
それを目安にして食品を選べばいいのか。納豆ご飯に卵をかけてもいいかもしれない。ただ我慢するのではなくて、メニューの選び方次第で工夫すればよいのはありがたいと思う。
「糖質はなるべく減らしたいですから、小腹がすいたときにちょっとつまむのも、お菓子でなくてこういうものにするといいですよ」
先生のアドバイスが心にしみる。タンパク質は体を作る材料になるものだから、減量ばかりでなく、健康のためにも積極的に摂るのがよさそうだ。
〈先生からの処方箋〉1食ごとにタンパク質20~30gずつを目安に。基礎代謝を高めることが減量成功の近道!
尾形 哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医
