◆転売ヤーは「吹けば飛ぶ羽虫」である
ある程度商材や業態を確定させて商売をする場合には、販路のメンテナンスが最優先事項です。だからこそ、取引先とのビジネスとは別に、有機的な関係を構築して、短期的に損をしても長期的な共生関係を築こうとする。
「転売ヤー」たちは、羽虫のように様々な販路を飛び移り、利益をむさぼる存在ですが、フットワークの軽さが逆に信用を無くしている形になるでしょう。
ただ、この軽さがゆえに、全体的なゲームチェンジャーの出現に対して非常に弱い。
今回は法律によって取り締まりが行われましたが、国家など上流にいるもののサジ加減によって、いくらでも状況が変わってしまう。
これは卸も小売りも同じ立場でしょうが、「販路」という命綱のメンテナンスをしつつ、運命共同体として商売をしてきた従来の販売業者は相互扶助によって嵐を乗り越えることも不可能ではありません。
吹き飛ばされるのは、転売ヤーばかりとなります。
◆転売はビジネスではない
中には、転売による小遣い稼ぎを「ビジネス」と自称する方もいらっしゃるようですが、お話になりません。ビジネスならば、「儲かるか否か」ではなく、ある程度長期的に安定して稼げないといけないでしょう。
吹けば飛ぶような不安定な仕入れルート、情勢によって一気に変わる売れ行き、何をとっても「ビジネス」とは到底呼べません。
せいぜいが「お店屋さんごっこ」の延長にすぎないでしょう。
高校生くらいの子どもが背伸びをしてやるならばかわいいものですが、いい大人が目の色を変えて食いついている現状を見るに、怒りを通り越して悲しくなってきます。
「誰もやらない」のは、「自分が賢いから」ではなく、「みんなわかっているけれど、最終的に損をすることがわかっているから」だと、なぜ気付かないのでしょうか。
闇バイトに食いつく若者も、転売に手を出す愚か者も、未来を見据えていない点では同レベル。
勉強がもたらす一番の恩恵は「人に迷惑をかけず生きていけること」なのかもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

