いつまでも輝く女性に ranune
旅がもたらす心の変化。大人の女性におすすめのロードムービー3選

旅がもたらす心の変化。大人の女性におすすめのロードムービー3選

『青春18×2 君へと続く道』©2024「青春18×2」Film Partners


 今いる場所から別の地へ、移ろいゆく景色に心をゆだね、湧き上がる感情を受け止めていくと、自分が少し変われたような気持ちになれるもの。そんな旅を通じた心の変化を描いたロードムービーには数々の名作・秀作がありますが、今回は比較的新しい映画のなかから、大人の女性にとって共感できる部分が多くありそうな作品を紹介します。

初恋の記憶の先へ、台湾と日本を繋ぐ珠玉のラブストーリー
『青春18×2 君へと続く道』

『青春18×2 君へと続く道』©2024「青春18×2」Film Partners

 自分が起業したゲーム開発会社を解任されてしまった36歳のジミー(シュー・グァンハン)。時は遡り、18年前の台南へ。大学入学前の夏休みにカラオケ店でアルバイトをしていたジミーは、日本から来たバック・パッカーのアミ(清原果耶)と出会い、天真爛漫な彼女に恋をします。楽しい日々も束の間、突然アミが帰国すると言い、二人はある約束をします。

 再び現在。故郷に戻ったジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを手にし、あの日の約束を果たそうと日本への旅を決意。東京から鎌倉、松本、新潟と、列車に揺られながら、ひと夏の恋に想いを馳せます。そして、アミの故郷である福島の只見へ。そこで知ったアミの本当の気持ちとは?

『青春18×2 君へと続く道』©2024「青春18×2」Film Partners

 叶わなかった恋だからこそ、いつまでも美しい。そんな初恋の思い出を大切に持ち続けている人は多いのではないでしょうか。仕事で大きな挫折を味わったジミーの心を救ったのも、そんな恋の記憶でした。台湾のにぎやかな夜店、日本の鈍行列車の窓から見える田園風景、台湾と日本それぞれのランタン祭り、雪が残る只見、そして桜。ジミーの目を通した情景が静かな余韻を残します。

 そして、何より印象深いのが、シュー・グァンハンの演技力。会社を成功させたものの人生につまづいた36歳の男性も、可愛い女の子を前にあたふたしている18歳の若者も、違和感なく演じていて、とても魅力的。旅を経たジミーのこれからをそっと応援したくなります。

『青春18×2 君へと続く道』

2024年製作

Blu-ray ¥7,700/DVD ¥6,600
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング

©2024「青春18×2」Film Partners

綾瀬はるかがコミュ障を演じる不思議なロードムービー
『ルート29』

『ルート29』©2024「ルート29」製作委員会

 鳥取で清掃員をしているのり子(綾瀬はるか)は、仕事で訪れた病院の入院患者から「姫路にいる私の娘を連れてきてほしい」と頼まれ、渡された写真を頼りに単身で姫路へ。見つけたのは、林の中で秘密基地を作って遊ぶ女の子、ハル(大沢一菜)。「トンボ」とあだ名をつけられたのり子はハルを連れて、姫路から鳥取までの国道29号線を進みますが、途中で車を盗まれ、歩くはめに……。

『ルート29』©2024「ルート29」製作委員会

 寡黙で他人にまるで関心がないトンボと、風変わりなハル。二人は旅のなかで、生きているのか死んでいるのかさえよくわからないような変な人々と次々に出会います。

 セリフも少なく、音楽もなく、川のせせらぎや虫の声がしっかりと聴こえるほどの静けさで、正直なところ最初は眠くなったものの、二人の旅が終わりを迎える後半になると、終わってほしくないような、不思議な気持ちが湧き上がってきました。

『ルート29』©2024「ルート29」製作委員会

 のり子を含めて覇気のない大人たちのなか、ハルだけが生き生きとしていて、新緑のような瑞々しさとたのもしさを感じさせます。

 海が見える砂丘に並んで座る二人は。親子ほど年が離れているのに、そんな差は存在しないかのような対等な雰囲気。のり子はトンボとして過ごした旅路で何を感じたのか、彼女の変化をぜひ見届けてください。

『ルート29』

2024年製作

U-NEXTにて独占配信中

©2024「ルート29」製作委員会

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