3.床暖房を設置するメリット・デメリット
ここからは、床暖房を設置するメリットとデメリットを解説します。床暖房の設置費用はけっして安くはないため、自宅に適しているのかを把握しておきましょう。
3-1.メリット:安全性が高くスペースを取らない暖房
床暖房を後付けして他の暖房から切り替えるおもなメリットは、以下のとおりです。
空気が乾燥せず快適性が高い
やけどの危険性が低い
スペースを取らない
掃除の手間がかからない
メンテナンス頻度が少ない
床暖房は床から直接伝わる熱(伝導熱)と、床から部屋全体に広がる熱(ふく射熱)によって足元から体全体を暖めます。エアコンのように風が発生せず空気が乾燥しないため、快適に過ごせることが最大のメリットです。ほこりが舞いにくく、アレルギー体質の方にも適しています。
また、暖房器具の出し入れが不要で省スペースを実現でき、基本的にメンテナンスが不要で長期間使用できます。
3-2.デメリット:初期費用やランニングコストがかかる
床暖房には、以下のようなデメリットもあります。
初期費用が高い
光熱費が高い
暖まるまで時間がかかる
床材が限られる
6畳だと設置費用が30~100万円程度と、設置費用が高いことがデメリットです。とくに温水式床暖房は、熱源機の費用に大きく左右されます。電気代やガス代などの光熱費も高く、広い部屋で長時間使用する場合は月々のランニングコストがかさみます。
また、床暖房は暖まるまで30分~1時間程度かかります。早く暖めたい場合は、立ち上げの際にエアコンを併用するなどの工夫が必要です。
4.マンションで床暖房を後付けリフォームする際のポイント
マンションで床暖房を後付けリフォームする際のポイントは、以下の5つです。
マンションの管理規約を確認する
電気容量が足りているか確認する
設置場所を明確にする
床暖房の設置面積を床面積の60%~70%にする
既存の給湯器が床暖房に対応しているか確認する

4-1.マンションの管理規約を確認する
床暖房を設置したい場合、まずはマンションの管理規約を確認しましょう。マンションには多くの世帯が暮らしているため床の遮音性能の規約が厳しく、床暖房の設置が制限されていることもあります。また、温水式床暖房は配管の際に共有部分の工事が必要な場合があり、とくに制限されやすい傾向があります。
工事時間や施工業者の出入りに細かなルールが設けられているケースもあるので、床暖房を検討しはじめたときに管理規約をチェックしておきましょう。
不明点がある場合はマンションの管理会社や理事会に相談し、書面で承認を得てから工事を進めると安心です。
4-2.電気容量が足りているか確認する
電気式床暖房を検討している場合は、電気容量が足りているか確認しておきましょう。電気式床暖房は消費電力が大きく、容量が不足していると設置できないためです。電気容量が不足している場合は、容量をアップしなければなりません。
ただし、管理規約により電気容量が制限されている場合は、電気式床暖房を設置できないこともあるため注意してください。設置前に施工業者や電気工事業者に調査してもらい、必要に応じて電力の契約変更や追加工事をおこないましょう。
4-3.設置場所を精査する
床暖房を後付けリフォームする際は、設置場所を明確にしておきましょう。あまり考えずに設置すると暖めたい部分が温まらず、非効率になる可能性があります。
リビングやダイニングなど、使用頻度の高い場所を優先してください。ただし、家具やラグで覆われる部分は熱効率が悪くなるため、避けたほうがよいでしょう。間取りだけでなく、家具などの配置も考慮し、設置場所を細かく決めておくことがポイントです。
4-4.床暖房の設置面積を床面積の60~70%にする
床暖房の設置面積は、その部屋の床面積の60~70%をカバーできれば十分な温かさを得られます。コストを抑えたい場合や間取りによる制限があったとしても、 50%以上は確保しましょう。
施工範囲を広げすぎると、工事費用や光熱費が増えてしまいます。一方で、狭すぎると部屋に温度ムラが発生して快適性を損ないます。使用頻度やライフスタイルに合わせて、60~70%のなかで最適な面積を決めることが重要です。
4-5.既存の給湯器が床暖房に対応しているか確認する
温水式床暖房を選ぶ場合は、既存の熱源機(給湯器など)が床暖房に対応しているかを確認しましょう。対応していない場合は熱源機の交換が必要で、25~100万円程度の追加費用が発生します。なお、マンションでは熱源機の設置場所に制約があるケースが多いため、事前に管理規約や管理会社へ熱源機の設置可否も確認しておきましょう。

