
ただ“寝る”だけでは慢性的な疲れを回復できない現代。
確実に疲労を取って心身を回復させる50代からの「休養の取り方」について学びます。
教えてくれたのは・・・
片野秀樹さん
休養学者、博士(医学)。日本リカバリー協会代表理事、ベネクス創業者・執行役員。休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組む。

『疲労学』
(東洋経済新報社)
疲労は体の異常を知らせる三大生体アラートの一つ
「休んでいるのに疲れが取れない」と感じている50代は多いはず。
日本リカバリー協会の調査でも「日本人の約8割が疲れている」という結果が出ています。
長年休養について研究している片野さんは「たかが疲労と侮るなかれ。放置すると様々な不調や病気の原因になる」と警鐘を鳴らしています。
「健康科学では、〝痛み〟〝発熱〟〝疲労〟を3大生体アラート(これ以上休まないと病気になるという体からの危険信号)と位置づけていますが、疲労は他の2つに比べると軽視されがち。
動物は、疲労が命にかかわることを本能的に理解し、回復するまで活動を停止しますが、人間は〝疲労感のマスキング(覆い隠すこと)〟ができてしまう。
つまり、使命感、やりがいなどの精神的な要因で疲労感を一時的に忘れることができるんです」
片野さんは「疲労を自覚すること」をファーストステップと位置付け、「正しい休養の取り方」が今後の人生の充足度の鍵を握ると主張します。

疲れ方が昔と今で劇的に変わった
日本では多くの人が「休む」というと「睡眠」と考えがちですが、睡眠時間を延ばすだけで、疲労は解消されるのでしょうか。
「現代においては、その答えはNO。なぜなら今と昔では、暮らしも働き方も大きく変化し、
疲れ方も劇的に変わりました。肉体労働が中心だった時代は、疲労は睡眠で回復できましたが、現代社会の疲れは、その質が変わってきているので、睡眠時間を長く取るだけでは半分程度しか解消できないと考えてよいでしょう。その活動が低下している状態から疲労感を感じている人が多いと考えています」

