◆比例でしか当選が見込めない少数政党への道
要するに、今回の連立離脱によって公明党は飛躍に転じるという主張が込められているのだが、現実はそううまくはいくまい。自公連立は自民党が安定的に組織票を得られるだけでなく、公明党にとってもメリットのあるものだった。大臣ポストも得て、自公で政策を実現できたからだ。自民党支持者からの票の上積みもあったが、今後はこうしたこともなくなる。合理的に考えれば、影響力を保つために与党でいたほうがいいが、彼らは自ら放棄した。公明党は「政権が代われば」と連立復活の可能性を示唆するが、学会信者の高齢化に加え、若年層の“選挙離れ”にも直面している。私が見るに最も可能性が高いのは、政策実現を誇示できず、比例でしか当選が見込めない少数政党への道だ。それも選挙を重ねるたびに議席を減らしていく道である。今なら取引できるが、残された時間は少ない。
この先、日本でも多党で連立交渉をする光景がしばしば見られるようになるだろう。通には面白いが、それがもたらす政治の停滞や不安定さはポピュリズムの養分となる点には注意が必要だ。後世の歴史に感情的な対立が悪い意味で日本の転換点だった、と記されないといいが……。政治もメディアも時代に適合した新しい知恵が求められている。

【石戸 諭】
ノンフィクションライター。’84年生まれ。大学卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanに移籍し、’18年にフリーに。’20年に編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、’21年にPEPジャーナリズム大賞を受賞。近著に『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)

