5.退職金は所得控除が受けられる
退職金を受け取る前に必要なこと
一時金として一括で受け取った退職金は、課税対象となります。しかし、退職金が振り込まれる前までに、勤務先などの支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで、退職所得控除が適用されます。この申告書は、勤め先から提示される場合がほとんどですが、もし書類について何も連絡がない場合は確認してみましょう。退職所得の申請をおこなわなかった場合、20.42%の税率による税金が源泉徴収されます。
また、退職金を受け取っても上記の申告書を提出していれば、確定申告をする必要はありません。たとえ申告が漏れていても、確定申告をすることで正しい税額が計算され、多く支払った分が還付されます。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、勤続年数によって計算方法が異なります。
退職所得控除額の計算式
- 勤続20年以下……40万円 × 勤続年数(ただし、計算結果が80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続21年以上……800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20)
計算例
- 勤続10年の場合(20年以下)……40万円 × 10(年)= 400万円(退職所得控除額)
- 勤続30年の場合(21年以上)……
- 800万円 + 70万円 ×(30年 – 20)
- 800万円 + 70万円 × 10
- 800万円 + 700万円 = 1,500万円(退職所得控除額)
退職金(退職所得)のうちいくらが課税対象になるかは、以下の式で算出できます。
課税退職所得の計算式
- 課税退職所得金額 = (退職金 – 退職所得控除額)× 1/2
計算例
- 勤続10年で退職金100万円の場合*……
- (100万円 – 400万円)× 1/2 = 0円(退職所得金額)
- 勤続30年で退職金1,600万円の場合……
- (1,600万円 – 1,500万円)× 1/2
- 100万円 × 1/2 = 50万円(課税退職所得金額)
*勤続10年の例は計算結果が控除額内に収まるため、所得税はかからず額面どおり支給される
*上記例はいずれも一時金として受け取る場合
6.転職前は制度の確認を
退職金は会社を辞める従業員に、勤務先から支給されるお金です。退職金の額や支払い方法は、会社ごとの定めによって異なります。
終身雇用が当たり前だったころは多くの企業が採用していましたが、転職による人材の流動化が一般的になったことや、先行きが不安定な景況のなか制度の維持が困難になったことなどから、退職金制度のあり方は多様化しています。
現状の給与や福利厚生に納得がいかない場合、転職するのも手です。転職先を選ぶ際は、退職金制度の有無や内容を確認してみましょう。
#退職金相場 #退職金
参考
国税庁|No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

