
◆令和版凸凹夫婦コメディ
夏帆が演じる自分を見失った女・山岸鮎美と、竹内が扮する令和の封建主義男・海老原勝男が中心となるラブコメディ。ダメな2人に思わずツッコミを入れたくなるから、視聴者参加型ドラマさながら。鮎美と勝男は大学の同級生で当時から付き合っていた。卒業後は鮎美が商社の受付担当者になり、勝男はメーカーに入る。その後、2人は長く同棲。勝男は結婚まで秒読みと思っていた。
ところが、勝男は大きな勘違いを続けていた。「料理は女がつくって当たり前」と固く信じた上、味から彩りにまで細かく口を出した。味噌汁の豆腐が木綿か絹ごしかにまで拘った。もちろん、ほかの家事も一切やらない。これでは鮎美が奴隷だ。勝男は「女は酒が弱い」という謎の妄想も抱いており、鮎美には酒を飲ませなかった。
もっとも、鮎美が一方的に被害者だったかというと、そうでもない。鮎美の目標はハイスペックな勝男との結婚することだけだった。自分をかなり偽ってきた。これでは疲れる。ついには本当の自分が分からなくなってしまい、勝男からのプロポーズを「無理」と断る。
このところラブコメは全般的に不振なのなのだが、このドラマはキャストや味付けがよかったらしく、視聴率は上々。10月7日放送の第1回は個人3.4%(世帯6.3%)で、同14日放送の第2回は個人3.9(世帯7.0%)と伸びた。
◆連ドラ、意外な空白…
夏帆の連続ドラマ主演はテレビ東京『ひとりキャンプで食って寝る』(2019年)以来、6年ぶり。ひきこもり女性に扮したNHK『星とレモンの部屋』(2021年)など主演作はスペシャルドラマや映画に多い。日本テレビ『ホットスポット』(2025年)でのピントの外れたホテル従業員役やフジテレビ『silent』でのひたむきに生きる聴覚障害者役など印象深い助演も数多くやってきた。俳優としての可動域が広い。「主演級の善玉しかやりません」という俳優とは異なる。
職人肌というわけか。それもそのはず。芸能界歴が長い。小学5年生だった2003年。東京・原宿で声を掛けられ、10代向けファッション誌『ピチレモン』(学研、2015年休刊)のモデルなどを始めた。
もっとも、芸能界入り後も暮らしはほとんど変わらなかった。10代のころの夏帆はこう語っていた。
「最初は生活が180度変わってしまうのでは、と思っていたんですが、お仕事を始めてみたら想像と全然違いました」(毎日新聞夕刊2007年3月9日)
これは人によって違う。10代の芸能人の中には学校を休みがちになったり、派手に遊ぶようになったりする人もいる。夏帆は芸能人になったことによって特別な存在になることを好まなかった。結果的にこれは今も続く夏帆の持ち味につながっている。芸能人臭の薄いところである。

