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最低賃金、過去最大66円アップで生活は楽になる?試算してみた!

最低賃金、過去最大66円アップで生活は楽になる?試算してみた!

最低賃金で生活は可能?「時給1500円でも足りない」現実

最低賃金はあくまで法律で定められた「最低限」のラインです。では、「人間らしい生活」を送るためには、一体いくら必要なのでしょうか。

全労連の試算が示す「必要な時給」 

全国労働組合総連合(全労連)は、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用を品目ごとに積み上げて算出する「マーケット・バスケット方式」を用いて「最低生計費」を試算しています。

その調査によれば、25歳の単身者がごく普通の暮らしをするためには、全国どこに住んでいても月額約24万円(時給換算で1500円以上)が必要という結果が出ています。
さらに、近年の物価高騰を反映した最新の試算では、必要な時給は1700円~1900円にまで上昇しているとの指摘もあります。

参考:全労連調査結果一覧

よくある誤解:「地方は生活費が安い」は本当か? 

この調査で特徴的なのは、最低生計費に都市部と地方でほとんど差がないという点です。例えば、東京と秋田で試算を比較すると、東京は家賃が高い一方で公共交通機関が発達しているため交通費は安く済みます。

対照的に、地方では家賃は安いものの、生活に自動車が必須であるため、その維持費が大きな負担となります。 なお生活必需品などの価格に大差はないため、結果として総額としての生活費はほぼ同水準になります。

地方は「物価が安いから賃金が低くても大丈夫」と思われがちですが、地方で暮らす人々にとって賃金格差が生活の厳しさに直結している現実を浮き彫りにしています。

【シミュレーション】最低賃金で一人暮らしするとどうなる? 

笑顔で働くカフェスタッフ
【画像出典元】「stock.adobe.com/maroke」

では、2025年度の最低賃金で一人暮らしをした場合、実際の収支はどうなるのでしょうか。

ここでは改定後の東京都の最低賃金1226円と秋田県の1031円を例に、首都圏と地方での収入や支出の違いをシミュレーションしてみます。
なお生活費は総務省の2024年度の家計費調査の単身者、地方別の数字を使用しています。

北海道・東北地方と関東地方でかかる生活費でシミュレーション

[シミュレーションの前提条件]
労働時間:月160時間(週40時間フルタイム勤務)
収入(手取り):額面収入から税金・社会保険料を約20%差し引いた金額で想定
東京:時給1226円 × 160時間 = 19万6160円 → 手取り約15.7万円
秋田:時給1031円 × 160時間 = 16万4960円 → 手取り約13.2万円
生活条件:単身者が賃貸住宅で一人暮らしをすることを想定

地方と都市部の生活費内訳と最低賃金での収支
総務省 家計調査より筆者作成

調査の結果によると、住居費を含めた1か月の生活費は、北海道・東北地方で160,618円、関東地方で180,411円という水準でした。なお、これらの金額は全年齢層を対象とした平均値であり、加えて、働き方の違いまでは反映されていない点に注意が必要です。

続いて住居費を除いた生活費は、北海道・東北地方で141,932円、関東地方では152,719円となりました。最低賃金で得られる収入とほぼ同程度か、下回るケースも見られ、家賃を支払えば赤字に転じる可能性が高いことが分かります。

ちなみに総務省の家計調査における「住居費」には、賃貸住宅の家賃、土地の賃借料、火災保険料などが含まれています。なお注意が必要な点として、調査対象の母数が少ないため、特定の回答が平均値を左右する可能性があることです 。

一方、民間の大手不動産サイトなどで実際の家賃相場を確認すると、単身者向けのアパートやマンションは関東地方では安くても月5~6万円程度から、秋田県のような地方では3万円台からが一般的で す。

こうした状況から考えると、最低賃金で単身生活を成り立たせるには、長時間の勤務や仕事の掛け持ちなど、相当な工夫や支出のコントロールが欠かせないと言えるでしょう。また収入面の不安から一人暮らしが難しく、親元で同居しているケースも多いのではないでしょうか。

今回は最低賃金が過去最大の引き上げとなりましたが、収入と支出がギリギリで釣り合う、あるいは赤字になるケースも少なくありません。貯金に回せる余裕はほとんどなく、冠婚葬祭など急な出費に対応するのも難しい状況です。さらに、病気や失業といった予期せぬ出来事への備えも、かなり厳しいのが実情と言えるでしょう。

この調査から見えてくるのは、最低賃金での暮らしが、いまだに「生きるのが精一杯」という厳しい現実に直面しているということです。

配信元: mymo

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