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乙武洋匡氏が「車椅子視点で見た」大阪・関西万博の光と影。2500万人が体験した未来への地図と課題

乙武洋匡氏が「車椅子視点で見た」大阪・関西万博の光と影。2500万人が体験した未来への地図と課題

◆大阪・関西万博の会場から教えられたこと

 万博とは、万国博覧会の略称だ。多くの国々がひとつの会場に集い、それぞれの国の科学技術や文化・芸術を展示して、来場者に触れてもらう。

 今回の万博に参加したのは、158か国と7つの国際機関。おそらく、多くの日本人にとっては、「初めまして」の国が多かったことだろう。

 たとえば、中東のクウェート館。エレベーターは裏手にあったのでクウェート人の男性に案内してもらったのだが、「5年前にクウェートを訪問したよ」と話しかけると非常に喜んでくれ、自分の胸元からピンバッジを外して、私の胸元につけてくれた。記念にツーショットも撮影してもらった。人間とは単純なもので、これだけでクウェートという国への親近感が増してしまう。もしも、SNSや路上でクウェート排斥のメッセージを目にしたら、とても悲しい気持ちになってしまうだろう。おそらくはこの半年間、会場のあちこちでそうした出会いがあったのだろうと思うのだ。

 また、日本で国際的イベントを開催する上で最大の弱点と言われてきた語学力も、今回の万博では不安がなかった。海外にルーツがあると思われる若い世代のボランティアスタッフが多言語を操り活躍していたのだ。“彼ら”の中には、まさに批判の的となっている“移民”の子や孫もいるだろう。

 交ざり合うこと。そして、もうすでに交ざり合っているという事実。大阪・関西万博の会場から教えられたことは、少なくない。

乙武洋匡
乙武洋匡
<文/乙武洋匡>

【乙武洋匡】
1976年、東京都生まれ。大学在学中に執筆した『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。ニュース番組でMCを務めるなど、日本のダイバーシティ分野におけるオピニオンリーダーとして活動している
配信元: 日刊SPA!

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