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総裁選から首班指名と壁を乗り越えた高市早苗首相を待つ三つの関門/倉山満

総裁選から首班指名と壁を乗り越えた高市早苗首相を待つ三つの関門/倉山満

―[言論ストロングスタイル]―

10月21日、自民党の高市早苗総裁が衆参両院の首相指名選挙で第104代首相に選出された。首班指名にいたるまで、自民党総裁選で小泉進次郎氏の敗北、高市早苗氏の勝利という予想外の展開から、公明党の連立離脱、そして「高市か玉木か」という新たな政治的選択肢の出現まで――日本政治は今、かつてない流動化の渦中にある。党員票と民意の乖離、言論戦から逃げた「大本命」の失墜、窮地に立つ公明党の決断。一連の政治劇が示すものは何か。そして、高市首相誕生となった今後に待ち構える三つの関門とは(以下、憲政史研究家・倉山満氏が10月17日に執筆した原稿です)。

自民党 高市総裁 日本維新の会 吉村洋文代表 藤田文武共同代表
10月15日、党首会談に臨む(写真右から)自民党の高市総裁と日本維新の会の吉村洋文代表と藤田文武共同代表。しかしながら、維新の行く末が心配だが…… 写真/産経新聞社

◆見事に“ダブルハットトリック”を決めた小泉進次郎

 ようやく自民党総裁選が終わったが、まだまだ政治空白は続く。

 総裁選前、「進次郎氏がボロを出さないか否か」が最大の焦点と二週にわたって書いたが、本当にその通りになった。

 大本命とされた小泉進次郎陣営の“オウンゴール”を数えて留めておこう。一発目、反高市のステマを文春砲で暴露される。二発目、高市支持の党員を党籍から排除。三発目、陣営内で“組閣名簿”が乱発、参謀格が勝手に仲間割れ。四発目、陣営の現職大臣が麻生太郎元首相を「終わった人」扱いで挑発、敵を結束させる。五発目、投票日前日に祝勝会もどきのお祭り騒ぎ。六発目、決選投票直前の演説が意味不明。本人の責任は六発目だけかもしれないが、見事に“ダブルハットトリック”を決めた。

◆言論で政治を決めるのが、民主国

 それより陣営は、「小泉隠し」「守りの戦術でボロを出さない」に徹した。あげく投票日直前は大臣として外遊に行っている徹底ぶり。これでは総理大臣の資格なしと看做されても仕方ない。

 日本を含め、自由主義国は権威主義国と対峙している。権威主義国とは言ってしまえば、暴力でのし上がった独裁者が支配する国だ。では米英仏独のような自由主義国は、そのような独裁者に伍せる指導者をどうやって選んでいるのか。演説と討論で、国民を説得し政敵を倒すことで、権力を握る。暴力ではなく、言論で政治を決めるのが、民主国だ。進次郎氏、言論戦から逃げて、どのように権威主義国から国益を守るのか。自民党の党員、そして議員に見透かされてしまったのではないか。


配信元: 日刊SPA!

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