◆民意と乖離している自民党の議員
今の自民党の議員は、「高市嫌い」で「減税などポピュリズム」扱い。民意と乖離している。だが、自民党の党員は「政治に少し詳しい普通の日本人」である。立憲民主党や日本維新の会は(理由は違うが)「党内で受けること」と「党外で受けること」が乖離している。対して自民党の党員に受けることは、そのまま国政選挙で使える。たとえば高市氏が唱える減税のように。これこそ、自民党が国民政党であり続けてきた所以だ。それにしても、「火事は最初の五分間、選挙は最後の五分間」とはよく言ったものだ。始まった時に結果が分かっている選挙など、やる意味が無い。昨年の自民党総裁選、衆議院選挙、今年の参議院選挙、自民党総裁選と、蓋を開けて見なければわからない選挙が四回も続いている。やる価値がある選挙は歓迎だ。ただし民意に基づく政治、すなわち「憲政の常道」の確立には、まだまだ生みの苦しみであるので、有権者の政治への監視が重要になる。
◆組閣、公明党との関係、連立交渉と三つの関門
高市早苗氏は、小泉陣営の林芳正氏との二位三位連合に対し、小林鷹之・茂木敏充両氏との、一位四位五位連合で対抗した。これは麻生元首相の演出だとか。その内訳をみると、第一派閥の旧安倍派、第二派閥の麻生派、第三派閥の旧茂木派に加え、参議院の票も大量に得ている。参議院旧安倍派は世耕弘成(せこうひろしげ)氏がまとめたと永田町では評判だし、小林陣営の参謀は石井準一参院国対委員長で、選挙後に参院幹事長に昇格した。世耕氏と石井氏の確執は有名で、そういうバランスの上に高市政権を運営しなければならない状況ではあった。最初に、組閣、公明党との関係、連立交渉と三つの関門がある。それを乗り切ったら少数与党での予算審議で、今年は赤字国債を発行する特例公債法の期限の年だ。しかし、ここを乗り切ったら、意外と安定する可能性もある。石破政権では、旧岸田・旧菅・旧森山・旧石破の第四~第八派閥が主流派だったのに対し、高市政権が続いてしまえば、第一~第三派閥が居心地よくなる可能性もある。反高市陣営としたら、「最も仕掛けやすいのが今」と言える。首班指名前から内外の揺さぶりに四苦八苦である。

