いつまでも輝く女性に ranune
総裁選から首班指名と壁を乗り越えた高市早苗首相を待つ三つの関門/倉山満

総裁選から首班指名と壁を乗り越えた高市早苗首相を待つ三つの関門/倉山満

◆何とか乗り切った党幹部人事

 党幹部人事は「麻生派偏重」と言われながらも、何とか乗り切った。

 その直後に公明党が連立離脱を突きつける。公明党は選挙前から「中道保守の人でないと連立は維持できない」と警戒感を剥き出しにしていたが、明らかに高市氏を念頭においてだ。ここまで露骨に他党の総裁選に介入したことは無い。そして「政治とカネ」で謹慎中だった萩生田光一氏を幹事長代行に起用。もはや喧嘩腰で党首会談に臨み、政治とカネの問題解決に即答を迫り、高市氏が待ってくれと留保したのに対し、「誠意が無い」とばかりに決裂。

 公明党の議員はともかく、支持者の創価学会員からしたら高市氏は「安倍政治の再来」である。公明党創価学会ではどうか知らないが、リベラル界隈では、しばしば「高市」は悪口として使われる。例えば「高市みたいなことを言うな」のように。公明党と言えば「平和」「福祉」「クリーン」を売りにしてきた党だが、「政治とカネ」に加え、本来の公明党と最も遠いイメージの安倍政治の継承者を推すとなると、相手の皮膚感覚を想像しなければならない。もっとも、安倍晋三元首相は、公明党に妥協的だったが、それでも安保法制など従来の公明党が支持しにくい政策を推進した。

◆民主制はマトモな選択肢が二つ以上無いと意味がない

 昨年の総選挙から、公明党は結党以来の危機に追いやられている。そこへ「高市を首相にしてくれ」である。むしろ公明党は窮鼠猫(きゅうそねこ)を噛む心境で、連立離脱に踏み切ったのではないか。

 とにもかくにも、政治が一気に流動化した。

 ここで仕掛けたのが、立憲民主党の安住淳幹事長。国民民主党の玉木雄一郎首班でも良いと発信し始めた。しかし玉木氏は、立憲民主党には「基本政策が違う政党とは組めない。特に安保とエネルギーで妥協はしない」と踏み絵を迫った。自民党には、「約束を守れない政党との約束はできない」と突っぱねる。

 かくして、「高市か玉木か」の選択肢が日本国民に与えられた。民主制はマトモな選択肢が二つ以上無いと意味がない。歓迎すべき流れだ。

 自民党は日本維新の会との連立に動くが、何にせよ民意を反映させた政治を求める。

―[言論ストロングスタイル]―

【倉山 満】
憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本中世史』(扶桑社新書)が発売後即重版に
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