今回は、朝の混雑した電車内で、周囲への配慮が足りず、“モヤモヤ”が残ったという2人のエピソードを紹介する。
◆朝の急行電車で見かけたベビーカー

「朝はいつも混んでいますけど、この日はとくに人が多かったです」
電車に乗り込み吊り革をつかんで落ち着いた瞬間、視線の先に“ベビーカーを押す女性”が立っていたという。
「赤ちゃんは寝ていました。タオルもかけられていてかわいい光景でした。でも、この混雑のなか乗ってくるのかな……とも思いました」
女性は一般車両のドア付近におり、体をやや前に傾けてベビーカーを支えていた。周囲の人は自然と距離をとっていたが、そのわずかな空間もすぐに埋まるような状況だったようだ。
◆優先席や専用車両ではなく…
次の駅でさらに人が乗り込み、ベビーカーの周囲は身動きがとれないほどになった。「うわ、これ押されたら危ないな」
隣の男性が押し出されるように車輪に足をぶつけ、「すみません」と小声で伝える。女性は軽くうなずき、赤ちゃんのブランケットを直した。
「女性は周囲に目を向けることなく、その場に留まり続けていました」
数駅を過ぎ、混雑が少し和らいでも、女性は優先席付近や女性専用車両へ移動する様子はない。
“なんで、この車両に留まっているんだろう?”
“めんどうくさいのかもしれないけど……”
と木村さんは思っていたという。
「申し訳なさそうな素振りもなく、まるでこれが当たり前というように満員電車に乗っている……その姿にちょっと違和感を覚えましたね」
やがて目的の駅に到着した。降車時には周囲の乗客が自然と道を空けて、女性がベビーカーを押しながらホームに降り立った。
「降りるときに“すみません”とか“ありがとうございます”とか、ほんの一言でもあれば、きっと私の受け止め方も違ったと思います」

