男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:百戦錬磨の恋愛テクを使った30歳美女が、狙った男からモテないのには理由があって…
「嘘でしょ…」
元彼・湊と共通の知人のSNSを見て、私は絶句する。そこには、湊の結婚式の写真が投稿されていたからだ。
「なんで?」
思わず画面をスクショしてしまった。
ちょうど去年の今頃、湊と別れた。彼とは4年交際し、そのうち3年は同棲していた。しかし去年の夏、湊が実家に帰省する、しないのタイミングで彼のご両親に紹介してもらえず、それがケンカの発端になり別れてしまった私たち。
そもそも、4年間も一緒にいたのに、湊は私との結婚を決めなかった。
そのことで何度もケンカをしたし、話し合った。
風の噂で私と別れた後、新しい彼女ができたとは聞いていたけれど、あまりにも早すぎる。
結婚願望がなかったはずの湊が、どうして新しい彼女とはすぐに結婚を決めたのか…。
Q1:同棲開始して1年で、彼の中でどう心境が変わった?
湊とは、共通の知人を介して知り合った。最初から気が合い、すぐに交際を始めた私たち。
とても順調で、交際して1年後、私のマンションの更新が近づいてきたタイミングで一緒に住むことになった。
同棲当初も、私たちの関係はずっと良好だったと思う。
フリーでWeb関連のデザイナーをしている私は家にいることが多かったので、基本的に家のことは私がしていた。
一方の湊は広告代理店に勤めており、忙しそうにはしていたけれど、週末は一緒に昼から料理をしたりして、楽しい時間が続いていた。
家賃や生活費は彼が8割、私2割…と、少し多めに出してくれる素晴らしい彼だったと思う。
「湊、いつも多めに出してくれてありがとう」
「当然だよ。さゆりも少しでも出そうとしてくれて、ありがとう」
お互いの仕事に理解もあったし、適度に自立していた私たちの関係。
しかも同棲を開始した時の年齢も、私が31歳で湊が30歳だったので、このまま結婚すると信じて疑っていなかった。
しかし33歳の誕生日を迎えるあたりから、雲行きが怪しくなってきた。
「さゆり、お誕生日おめでとう」
中目黒のイタリアンでお祝いをしてくれた湊。お祝い自体はとても嬉しかったし、感動した。
しかし私は心のどこかで期待していた。「そろそろかな?」と。
でもこの日。美味しくて楽しいディナーを終え、家へ戻ってきたのだけれど、結局何もない。
「あのさ、湊…」
「ん?どうした?」
「いや、何でもない。今日はありがとう」
「うん、おめでとう。明日朝早いから、俺もう寝るね」
私の誕生日なのに、さっさと寝ようとしていることに驚いた。もっとラブラブしたいと思っていないのだろうか。
同時に、最近湊と肌を触れ合っていないことに気がついた。
― 私、女として魅力がなくなった…?
そう思うといたたまれなくなり、お風呂に入った瞬間に泣けてきた。太ってもいないし、私は交際した当初と何も変わっていない。
同棲を1年もすると、家族みたいな関係になってしまうのだろうか。
でも、結婚もしていないし家族ではない。
33歳の誕生日の夜、こっそり泣いたことを、彼は今も知らないと思う。そしてこの後振り返ると、この時はまだ良かった方なのかもしれない。
Q2:男が早々に、次の女性と結婚を決めた理由は?
段々と男女の触れ合いがなくなっていた私たち。でも別に仲は良かったし、ケンカをしたわけではなかった。
でもさすがに交際3年、同棲2年、結婚を意識すると話は変わってくる。
「湊。結婚のこと、どう考えてるの?」
「ちゃんと考えてはいるけれど、別に今この状況でする必要なくない?一緒にいて楽しいし…何より、さゆりはほぼ家族みたいなものじゃん。そもそもだけど、結婚して、何が変わる?」
「正式な家族になれるんだよ?」
「ただの紙切れ上の約束でしょ」
そんな会話の繰り返しだった。
何度話し合っても先には進まず、いつも同じところに戻ってくる。
それに結婚の話題を出すたびに、私たちの間の距離は遠くなっていく気がした。見えない溝が深まっていくような、そんな感覚だ。
会話も減っていくし、お互い触れ合う時間はほとんどなくなった。
仲も良いし、お互い嫌いなわけではない。でも“結婚”という言葉を出すたびに、やんわり否定してくる湊のことが、私はだんだんわからなくなっていく。
「状況が特に変わらないならば、結婚してもいいじゃん。なんでそんなに結婚したくないの?」
「何かに縛られるのが怖いんだよ」
「私、別に束縛とかしていないよね?」
湊がどんなに遅く帰ってこようが、私は文句ひとつ言わない。基本的に、私自身が束縛されるのが嫌なので、相手にしないようにしている。口うるさくもないし、自由にさせてあげている。
「そういう問題じゃなくて。さゆりには感謝しているけど、今はまだ結婚とか考えられなくて」
「でも、私もう34歳になるんだけど」
「そうだよね」
そうは言いながらも、湊が動かないことは知っている。だから湊がお盆休みに実家に帰省すると聞いたとき、私は思い切って提案してみた。
「湊が帰るなら、一緒に行ってもいい?ご両親に挨拶もしたいし」
「いやいや、それはいいよ」
「でも、私の両親には会ったのに、私だけご挨拶していないもの変だし…」
「それはさゆりのご両親は東京だからね」
以前、私の両親と湊の4人で、食事をしたことがある。その時の湊の対応は素晴らしく、私の両親も気に入っていた。
だから私も、いつか湊の両親にご挨拶も兼ねて会いたいと思っていた。
しかし湊は、ずっと渋っている。
段々とその態度に腹が立ってきて、私は遂にブチギレた。
「あのさ…本当に将来のこと、考えてる?湊はいつも口だけで、私たちの将来のことなんて、何も考えてないでしょ」
「そんなことないよ」
「じゃあなんで、ご両親に私のこと紹介するのを嫌がるのよ?」
「まだ時期尚早というか…結婚が決まったわけではないんだし」
「その態度、何なの?全然私のこと大事に思ってないじゃん」
「何だよそれ。もういいよ、別れよ」
今思うと、売り言葉に買い言葉だったのかもしれない。
でも結局、このケンカが尾を引き、私たちは別れることになった。交際4年、同棲3年の歳月は長すぎて、大いに泣いたし、まだ完全に立ち直っていない。
それなのに、私と別れてすぐに他の女性と交際を開始し、1年にも満たない間に結婚し結婚式まであげた湊。
― 本当に、何なの…?
どうして私とは結婚できずにその新しい子とは結婚したのか。怒り半分、悲しみ半分で打ちひしがれている。
▶前回:百戦錬磨の恋愛テクを使った30歳美女が、狙った男からモテないのには理由があって…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:8月24日 日曜更新予定
男が、次の相手とは早々に結婚を決めた理由は…

