3.後悔する前に知っておくべき外張り断熱リフォームのデメリットと対策
多くのメリットがある外張り断熱ですが、もちろん良いことばかりではありません。デメリットと、その対策についてもしっかりと理解しておきましょう。
3-1.費用が比較的高額になりやすい
最も大きなデメリットは、内断熱リフォームなど他の断熱方法と比較して、費用が高額になる傾向があることです。
その理由として、下記のことが挙げられます。
高性能なボード状の断熱材が必要
既存の外壁の上から施工するため、外壁材も新設する必要がある
専門的な施工技術が必要で、手間がかかる
対策
国や自治体には、省エネリフォームを対象とした手厚い補助金制度があります。
補助金を最大限に活用することで、自己負担額を大きく減らせる可能性があります。(詳しくは後述します)
必ず複数のリフォーム会社から見積もりを取り、価格と提案内容を比較検討しましょう。
適正価格を知り、信頼できる業者を選ぶための基本です。
いずれ必要になる屋根の葺き替えや塗装などと同時に行うことで、工事に必須の「足場」を一度で済ませられます。
足場代だけでも20万〜40万円かかるため、トータルコストを大きく抑えることができます。2. 対応できるリフォーム会社が限られる
3-2. 対応できるリフォーム会社が限られる
外張り断熱は内断熱に比べて施工が難しく、断熱や気密に関する専門的な知識と豊富な経験が求められます。そのため、どのリフォーム会社でも高い品質で対応できるわけではありません。
知識や経験が不十分な業者が施工すると、期待した断熱効果が得られないばかりか、雨漏りや結露の原因を作ってしまうことさえあります。
対策
業者選びで失敗しないためには、必ず「外張り断熱の施工実績が豊富な業者」を選ぶことが何よりも重要です。
会社のウェブサイトで施工事例を確認したり、見積もりの際に実績について質問したりしてみましょう。丁寧な説明があり、具体的な事例を示せる業者であれば、信頼度が高いと言えます。
3-3. 外壁が厚くなり、敷地に制限が出る場合がある
外張り断熱リフォームでは、既存の壁の外側に断熱材と新しい外壁材を施工するため、壁の厚みが全体で数cmから十数cm程度増します。
ほとんどの場合は問題ありませんが、隣の家との境界線までの距離が非常に近い場合や、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)が法律上の上限に近い敷地の場合は、外張り断熱リフォームによって規定を超えてしまう可能性がないか、事前の確認が必要になります。
対策
この点も、経験豊富な業者であれば、契約前に必ず敷地状況や関連法規をチェックしてくれます。
見積もりを依頼する際に、敷地が狭いことなどを伝えておくと、よりスムーズに話が進むでしょう。
(参考)外張り断熱リフォームを勧めてくる業者に注意!
「近所で工事をしていまして、ご挨拶に伺いました」「今だけ限定のキャンペーン価格で外張り断熱リフォームができますよ」などと言って、突然訪問してくる業者には特に注意が必要です。不安を煽って高額な契約を迫ったり、あり得ないような大幅な値引きを提示して即決を求めたりするのは、悪質な業者の常套手段です。
彼らは、あなたの家の構造や状態をきちんと把握しないまま、自社に都合の良い商品を勧めているケースがほとんどです。工事の受注のみが目的であるため、施行の品質と効果については二の次です。施工前後の断熱効果の測定などは行わないことがほとんどでしょう。
トクリュウ(匿流)型犯罪に注意!リフォーム業者を装った詐欺・犯罪の手口と対策
また、一般的な外壁塗装のタイミングで、塗装業者から「足場をかけるついでに、断熱効果のある塗料や簡単な断熱工事もどうですか?」と提案されたときも注意が必要です。
外張り断熱は非常に専門性の高い工事です。塗装の専門家が、必ずしも断熱の専門家であるとは限りません。
不適切な施工は、断熱効果が得られないだけでなく、かえって家の寿命を縮めることにもなりかねないので、外壁のメンテナンスと断熱工事は別物と考えて施工を依頼しましょう。
4.【費用・工期】外張り断熱リフォームはいくらかかる?
リフォームを検討する上で、最も気になるのが費用と工期ではないでしょうか。ここでは、具体的な目安について解説します。
4-1.30坪の戸建ての費用相場は250万~400万円
一般的な30坪程度の2階建て戸建て住宅で、外壁全体の外張り断熱リフォームを行う場合、費用相場は250万円〜400万円程度です。
費用に大きな幅があるのは、以下の要素によって価格が変動するためです。
使用する断熱材の種類や厚み
仕上げに使う外壁材のグレード
既存の外壁の状態
建物の形状や窓の数
正確な費用を知るためには、必ずリフォーム会社に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを出してもらう必要があります。
4-2.工期の目安:3週間~1.5ヶ月程度
工事期間の目安は、3週間〜1.5ヶ月程度です。こちらも建物の大きさや形状、天候によって変動します。
特に雨の日は外壁工事ができないため、梅雨や台風の時期は工期が延びる可能性があります。リフォーム会社と工程表を確認しながら、余裕を持った計画を立てることが大切です。
4-3.リフォーム費用を賢く抑える3つのコツ
高額になりがちな外張り断熱リフォームですが、工夫次第で費用を賢く抑えることが可能です。
[1]補助金・助成金を徹底活用する現在、国は住宅の省エネ化を強力に推進しており、断熱リフォームに対して手厚い補助金制度を用意しています。条件に合えば数十万〜100万円以上の補助を受けられることもあります。利用しない手はありませんので、必ずチェックしましょう。
[2]最低でも3社から相見積もりを取る1社だけの見積もりでは、その価格が高いのか安いのか判断できません。複数の会社から見積もりを取り、価格だけでなく、提案内容や使用する材料、保証内容、そして担当者の対応などを総合的に比較することが、適正価格で質の高い工事を行うための鍵となります。
[3]他のリフォームとまとめて工事するデメリットの対策でも触れましたが、「足場」の費用は一度きりにするのが賢い選択です。近い将来、屋根の塗装や葺き替え、ベランダの防水工事などを検討しているのであれば、外張り断熱と同時に行うことで、足場代を1回で済ませることができ、長期的に見て大幅なコスト削減につながります。

