いつまでも輝く女性に ranune
後生大事にお墓まで持っていってください…次男から突きつけられた“決別”の言葉。「年金18万円・貯金1.2億円」の79歳母が、執着したお金と引き換えに得た「老後の虚無」【FPが解説】

後生大事にお墓まで持っていってください…次男から突きつけられた“決別”の言葉。「年金18万円・貯金1.2億円」の79歳母が、執着したお金と引き換えに得た「老後の虚無」【FPが解説】

お金は「守るもの」ではなく、「つなぐもの」

老後の資産形成は確かに重要です。しかし、ファイナンシャルプランナーとして多くの家庭を見てきた経験からいえるのは、「守る」ことだけに執着すると、やがて人間関係の破綻を招くということ。信子さんのように、資産を一人で抱え込むケースでは、認知症リスクや相続トラブルの火種が大きくなる傾向にあります。

たとえば、信託制度を活用すれば、「信頼できる家族が資金を管理し、本人の生活費を確保する」仕組みを作ることができます。また、生前贈与を計画的に行うことで、家族との対話を増やしつつ、税負担を減らすことも可能です。

「お金をどう使うか」は、家族の絆をどう残すか、という問いでもあります。人は、遺された財産の金額よりも、「そのお金に込められた思い」によって結びついていくものです。

もしあなたの親が信子さんのように“お金を守りすぎている”と感じたなら、まずは「どう使いたいのか」を一緒に考えることから始めてみてください。そこには、老後の安心だけでなく、家族の未来をつなぐ大切なヒントが眠っています。

そして、もし信子さんがもう一度息子に会えるなら——。「ごめんね。お金より、あんたたちと過ごす時間のほうが大事だった」と、きっとそういうはずです。その言葉こそが、なによりも価値のある遺産なのですから。

波多 勇気

波多FP事務所 代表

ファイナンシャルプランナー

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