◆大谷翔平・佐々木朗希との“因縁の背景”
そんな状況を招く遠因となったのが、大谷翔平と佐々木朗希の2人である。ブルージェイズにとって、この2人は“因縁の相手”と呼べるかもしれない。大谷がエンゼルスからFAになった2023年オフ。多くのチームが二刀流スタープレーヤーの争奪戦に加わった。そのうちの一つがブルージェイズであり、最後はドジャースとの2択にまで残っていた。「大谷がブルージェイズと契約するために、トロント行きのプライベートジェットに搭乗した」という“誤報”を記憶している日本のファンもいるだろう。しかし、結局、大谷はドジャースと大型契約を結んだ。
大谷への求愛が実らなかったブルージェイズだが、その1年後に再び日本人相手に大失恋を経験した。その相手が、昨季オフにポスティングを利用してロッテからメジャー移籍を模索していた佐々木である。
当時の現地報道によると、佐々木もまたメジャー移籍にあたり、複数のチームと面談を行い、最終的にドジャース、パドレス、ブルージェイズの3球団に絞っていた。そのうちパドレスが脱落し、佐々木獲得を巡る争いはドジャースとブルージェイズの一騎打ちに……。
しかし、当初から予想されていた通り、佐々木が選択したのは大谷、山本由伸がいるドジャースだった。佐々木のドジャース加入が決まり、ブルージェイズファンが悲嘆に暮れたのは想像に難くない。
2年連続で日本人スター選手の争奪戦に敗れたことで、チーム解体の危機も味わったブルージェイズ。それだけに、今季の思わぬ躍進には喜びもひとしおだろう。また、ブルージェイズやそのファンとすれば、大谷と佐々木は“ブルージェイズを振った日本人”として胸に刻まれていることになる。ロジャーズ・センターで、2人に対して大きなブーイングが響き渡ることは間違いない。
◆「4連勝チームVS第7戦までもつれたチーム」有利なのは?
そのブルージェイズとドジャースだが、リーグ優勝決定シリーズの戦い方はまさに対照的だった。4連勝で勝ち上がり、中6日でWS初戦を迎えるドジャースに対して、ブルージェイズは第7戦までもつれ込んだため、中3日で開幕を迎える。リーグ優勝決定シリーズが今の7試合制になって以降、今季のように4連勝のチームと第7戦までもつれ込んだチームがWSで対戦したのは過去に4回。そのすべてで、4勝3敗で勝ち上がったチームが世界一に輝いている。ドジャースにとっては悲報、ブルージェイズにとっては朗報といえるジンクスだ。

