◆争点となるのは日テレの判断、妥当性

日テレは福田社長の会見後、一部マスコミがコンプライアンス違反の内容を明かさなかったことを強く批判したため、親会社の日本テレビホールディングスが外部の弁護士らによるガバナンス評価委員会を設置し、全対応を検証した。その結果、「(対応は)適切なものであった」とする意見書をまとめている。
国分側が問題視しているのも番組降板の妥当性や手続きの正当性。日テレによると、コンプライアンス違反の内容を伏せることについては国分も事前に了承していたという。理由はもちろんプライバシーの保護である。国分にも関係者にも当てはまる。
双方ともに大物弁護士が付いた。ここで忘れてはならないのが、弁護士は法律のプロだが、裁判官ではない。ともに依頼者の利益を優先する。それは芸能人が過去に起こしたトラブルでも分かる通りである。
◆審査の今後の進展は?
日テレによる聴取や手続きは録音や文書が残っているに違いない。それを参考にすると、ある程度、事実が浮かび上がるはずだ。ただし、国分の申立てを人権擁護委員会が受理するとは限らない。申立てはまず簡易審査にかけられる。ここで予備審査を開始するか、しないかが決められる。簡易審査を通過しても予備審査が通らないこともある。予備審査を通過すると、やっと本調査に入る。このため、申立てから本調査が終わるまでには数年かかることも。日弁連が誤った判断を下すわけにはいかないからだ。調査と検討には十分時間をかける。
仮に日テレの対応が国分への人権侵害だった場合、人権擁護委員会が警告などの措置を行う。ただし、強制力はない。罰則などはないのだ。くしくもテレビ番組をジャッジする放送倫理・番組向上機構(BPO)と同じである。
また、人権擁護委員会が和解の斡旋を行うこともある。国分と日テレの場合、コンプライアンス違反の程度やお互いの感情もあるだろうが、もともとビジネスパートナーだから、和解の可能性はあるはずだ。

