しかし、警備費や機運醸成費は国が負担をしており、チケットの販売枚数も目標に届いていないという不都合な真実もあるのです。

◆万博開催は成功だったのか?
大阪府の吉村洋文知事は10月9日の報道各社に対するインタビューで、大阪・関西万博は「合格点だった」と語りました。大きな経済効果が生まれ、最大で280億円の黒字が見込まれていることなどを理由に挙げています。日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長も日本経済新聞のインタビューに対して、「わりあい評価できる万博だったと言っていいのではないか」と答えています(「大阪万博「多くの来場や黒字、成功の条件クリア」 万博協会事務総長」)。
ビデオリサーチは大阪・関西万博に関する調査を実施しており、来場者の満足度は関東が71.9%、関西が84.4%との結果も得ています(「大阪・関西万博をデータで深掘り!来場率や満足度、人気パビリオンを徹底分析」)。
来場者の満足度は高く、リピーターも多く来場しました。それが累計来場者数を大幅に増やすことにつながり、公式キャラクター「ミャクミャク」のグッズの売れ行きも好調。黒字化に大きく貢献しました。運営費の黒字化は万博の関係者も高く評価しており、開催したことの意義を強調するポイントの一つになっています。
万博開催が成功だったと言われる所以です。
◆警備費の増額分が国負担なら納得できるが…
しかし、この運営費には含まれていないものがあります。その一つが警備費です。警備費はもともと運営費から捻出することになっていましたが、2023年9月に当時の西村康稔経済産業大臣が国負担にする方針に変更。当時の予算は199億円でした。2024年12月に55億円の増額を決定。255億円になりました。
2022年7月に「安倍晋三元首相銃撃事件」が起こって日本中を震撼させ、2023年4月の「岸田文雄元首相襲撃事件」によって、いよいよ日本でもテロ行為が頻発することを印象づけました。
こうした状況を鑑みても、警備費の増額は避けられなかったでしょう。その分を国が負担するのであれば納得はしやすいものの、全額を国負担としたことには違和感を覚えます。
仮に当初の警備費200億円を運営費に含んでいたとすれば、黒字はギリギリのラインです。

