
もちろん、「ごめんなさい!」と頭を下げてくれる人もいたが、経験上そうした方は少ない。ほとんどの場合、本人が気づいているのかはわからないが、無言で立ち去ってしまう。
◆目の前を歩く男性が女性のスーツケースと衝突
「私も似たような経験は何度もしていますが、そんなものだと諦めています。まあ、衝突する直前で避けようとするため、ぶつかっても痛みを感じるほどじゃなかったのも大きいと思いますが……」そう話すのは、損保会社に勤める金山聡さん(仮名・35歳)。現在は関西に単身赴任中だが、幼い我が子に会うため、月2回のペースで埼玉県内の自宅に戻り、移動には毎回新幹線を利用。そんな彼は、一度だけスーツケースの衝突をめぐるとんでもない現場に遭遇している。
「偶然間近で目撃していたのですが、正面から大きなスーツケースを持った女性が来て、私の前を歩いていたスーツ姿の若い男性の右ヒザとぶつかったんです。ゴンッという大きな鈍い音が響き、かなりの衝撃のように感じました」
ぶつかる直前、スーツケースの後ろ側のタイヤの向きが変わったのか、男性の進路を塞ぐ形になったのが見えたとか。男性もそれに気づいてかわそうとしたらしいが、避けきれなかったようだ。
「男性はぶつかった瞬間、身体の向きを反転させたのでこちらからも表情を読み取ることができましたが、声には出さなかったものの、痛そうな顔をしていました。女性も振り向いて彼のほうを見たため、自分のスーツケースがぶつかったことは間違いなく気づいていたはずです」
◆加害者の中国人女性がなぜか逆ギレ…
ところが、女性は何事もなかったかのようにその場を立ち去ろうとする。その時、被害男性は「ちょっといいですか?」と声をかけるが、再び振り向いた彼女は、中国語らしき言葉でまくしたてるように文句を言ってきたそうだ。「正直何と言っていたのかはまったくわかりませんが、男性のことを睨んでいたので、少なくとも謝罪でないことは私にも理解できました。ただ、どう見ても非があるのは女性の方です。それに男性も呼び止めた時は、ブチキレモードではなく冷静な口調でした。にもかかわらず、女性は一方的に逆ギレしてきたので狂気を感じましたし、本当に怖かったです……」

