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高市政権で「日本は右傾化」するのか?欧米先進国が“保守化する”必然性から探る

高市政権で「日本は右傾化」するのか?欧米先進国が“保守化する”必然性から探る

◆欧州先進国が保守化する理由

そして、このような流れは私が働いていたイタリアや住んでいるイギリスでも似たようなものだ。かつてに比べ、一般の人々の生活はかなり苦しい。
アメリカと同じように製造業は海外に移転してしまい、かつては見習いとして中学を卒業した後に働き、それなりの給料を稼げた人々も、今は飲食店やスーパーで非正規の仕事をしなければならない。

その一方で、不法移民や自称難民の人々が大量にやってきて1泊2万円から3万円のホテルに無料で宿泊し、難民認定が下りると生活保護になって地価の高い地域にある公営住宅に住んでいるのである。

都市部の高価な不動産は外国人が買い漁っていて、一般の人々が購入するのは不可能だ。 皆郊外の辺鄙(へんぴ)なところに住んで長時間通勤する。

大学を出ても昔のように良い仕事はなく、条件が良く給料の高い仕事にありつけるのは、ごく一部の超高度な理系の知識を持った人々やコネがある人々に限られている。独裁国出身の外国人オーナーや客の使用人として給料を稼ぐ日々だ。他に選択肢はない。

イタリアでメローニ政権が成立し、イギリスでは超保守系のリフォームUKが大人気になるのは必然的だった。

これらの国で保守層が台頭する理由はシンプルなものだ。

「昔のように、ごく普通の人々が安定した仕事を手に入れ、家を買い、子供を大学に入れられる収入を得られるようにしてくれ」という要望を反映しただけに過ぎない。彼らは決して排外主義ではない。

◆日本も保守化の流れに追随するのか?

それでは、このような保守化の傾向は日本でも同じであろうか?

日本は経済的な自由を推進する一方で、福祉などは大変手厚く、賃金格差は先進国の中でも最も低く抑えられ、機会の平等だけでなく経済状況の平等も維持されていた。

他の国の人々から見ると、日本というのは資本主義でありながら極めて社会主義的な国である。つまり、保守主義とはかなり距離がある国だった。

ところが、今回自民党の総裁に保守系の高市氏が選出されたことからわかるように、日本でも他の先進国のように、特に若い人を中心に保守主義が支持を得るようになっている。

そして、その主張は他の国と非常に似通ったものだ。皆、昔のような人並みの生活を送りたいだけだ。

ただし、日本の場合はまだまだ格差が小さく、多様性やLGBTQの押し付けも他の国よりはマイルドなので、アメリカや欧州より主張には緊急性がない。ただ、この先はどうなるかわからない。それは、今後の自民党の政策次第だろう。<文/谷本真由美>

―[世界と比較する日本の保守化]―

【谷本真由美】
1975年、神奈川県生まれ。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。主な著書に『世界のニュースを日本人はなにも知らない』(ワニブックス)、『激安ニッポン』(マガジンハウス)など。Xアカウント:@May_Roma
配信元: 日刊SPA!

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