◆疲れているはずなのに、目が冴えてしまう

「疲れているのに、逆に目がさえてしまう始末。座席モニターが付いていなかったからイヤホンは当然用意されていません。本当は卒業旅行の少し前にワイヤレスイヤホンを買ったんですけど、持ってくるのを忘れてしまう痛恨のミス。
手で耳を塞いだりしていましたが、その態勢を長時間キープも辛くて。結局、耐えるという選択肢しかありませんでした」
スマートフォンには電子書籍をダウンロードしていたので暇をつぶすことはできたが、ようやくいびきが収まったかと思えば、しばらくすると再び聞こえてくる。その繰り返しで「正直、口を手で押さえてやりたい衝動に何度も駆られました(笑)」と桑沢さん。
インド人男性は着陸まであと30分と迫ったころに目を覚まし、ここでようやく騒音から解放されたが、間髪入れずに新たな問題が発生する。起きてすぐに座席下の荷物からドーナツを取り出し、それをムシャムシャと食べ始めたのだ。
◆インド旅行の忘れられない思い出にはなったが……
「あれって食べカスが下にボロボロと落ちるじゃないですか。自分のヒザの上もカスだらけになるわけですが、おじさんは一切謝ることなく気まずそうな表情を浮かべることもなかったです。精一杯の抵抗として食べカスをおじさんに向けてはらいましたが、まったく気にするそぶりすら見せていませんでした」現在、桑沢さんは国内外への出張や旅行で毎年50回前後飛行機に乗るそうだが、この人物ほどのひどいいびきに遭遇したことはない。食べカスについては、後にも先にもこの時のたった一度の経験だ。
「当時は『まあ、インドだし、そんなこともあるか……』と受け入れるようにしていましたが、厳密に言えば、インドに向かう機内での出来事。ただ、入国後はもっと強烈なハプニングに何度も遭遇しているため、全然大したことがないと錯覚してますけどね(笑)」
とりあえず、飛行機に搭乗する際は、耳栓やイヤホンなど耳を塞げるアイテムを準備しておいたほうがいいかもしれない。
逆に隣の人に自分自身が迷惑をかけていないか、考えることも大切だろう。機内でのマナーはときに文化や価値観の違いが影響することもあり、国際的にも解決の難しい問題だと言える。お互いに配慮し合う姿勢は、旅行や移動をより快適なものにする第一歩だ。
<取材・文/トシタカマサ>
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【ハッシー橋本】
愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 X(旧Twitter)@hashimotosan84

