◆おばあちゃんが“竹内有紀”タオルを掲げて……

「家族みんな知ってますよ。それどころか親戚にも未成年者以外には話をしています。妹はYouTube番組の収録に同席していたこともあるし、私がマラソンに出場した時には、おばあちゃんが “竹内有紀”って書かれたタオルを弾幕代わりにして応援に来ていましたよ(笑)」
——家族総出で応援してくれているのですね。
「今となっては、ですよ。始めた当初はやっぱり人生への影響がマイナスのイメージしかなくて不安でしたから。でも、それをプラスに変えていく姿と結果を見せたことで、みんなが認めざるを得ない状況をつくりだしたんです。私はセクシー女優は最初から応援をされる仕事ではないと思っています」
——近年、社会的にもセクシー女優への偏見は少なくなっているようには感じますが。
「やはり、住み分けは必要ですよね。とはいえ、世の中には不可欠な仕事。周囲に認めてもらうためには、まずは一人の人間として家族や大事な人と向き合わないと。たまに、周りから反対されているという女優さんもいますけど、それは自分自身がこの仕事に偏見を持っているんじゃないかと思うんです。セクシー女優であることで、家族も偏見に晒される可能性だってありますから、逃げたくなる気持ちはよくわかります。でも、認めてもらいたいのであれば、自分から『私はセクシー女優をやっていく』と発信していかないと。少なくとも私は、日常会話の中でそう言うようにしていました」
——竹内さんがそこまで腹を括れたのは、何か理由があったのですか?
「だって、娘がセクシー女優になるなんて、どう考えても心配じゃないですか。私だって、逆の立場になったらきっと反対すると思う。だからこそ、私は親を安心させるつもりで、虚勢を張るかのように言い続けたんです。一つの仕事をリスペクトして本気で頑張るって素敵なことだし、その姿を見せれば応援もしてもらえるだろうと思ったんです」
——それって、セクシー女優に限らず、あらゆる仕事にも通じる話ですよね。
「そうです。どんな仕事でも同じ。惰性で選んで惰性で続けていたら、理解を得ることなんて無理。結局のところ、生き様をどう見せるかですよね」
◆日本人にとって、性は取り扱いが難しい
——セクシー女優と並行して、すでに新しい活動も始めていますね。
「はい。『ホットネス』というフィットネスプログラムをスタートさせました。セクシー女優と元パーソナルトレーナーとしての知識を融合させて、『性』を組み込みながら、活力のある健康的な女性の生き方をサポートしています。現在はYouTubeやSNSでの発信、オンライン上での悩み相談やボディメイクのレッスンなどを主に行っています。
でも、『性をオープンに』を推奨したいわけではないんです。オープンにするべきは、シモの話ではなく自己理解の話。セクシャル的なことは、知りたい人に届けばいいんですよ。知りたくないことを知らされるのもセクハラですから」
——確かに、そこは問題点の一つですよね。
「私は性を嗜好品として楽しむことは良いと思いますが、文化にする必要はないと思っています。海外ではセクササイズもラブコミュニケーションの一環として根付いていますが、日本人は『性は秘めるもの』という特有の奥ゆかしさや美学を持っていますから。この土壌をどう耕していくかを私が提唱していければと思っています」
——そう考えると、竹内さんは本当にチャレンジングな課題に取り組んでいるのですね。
「日本人にとって、性は取り扱いが難しい。だからこそ性の業界を知る私みたいな人が、世間一般の考え方をくみ取って、さらに発信していく必要があると思うんです。将来的には、いろんな人たちがちょうどいい距離感で性に寄り添える場所をつくっていきたいですね」
——ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>

