有給取得前後にお礼…「感謝の強要」がハラスメントに?
日本企業特有の慣習のひとつに、「有給前後に上司や同僚へお礼を言う文化」があります。
「明日は有給を頂戴いたします!」
「有給をいただきありがとうございました」
「ご迷惑をおかけしました」
といった言葉が“常識”のように扱われる職場もあるでしょう。なかには経営者や上司に向けた「お礼のお手紙」の提出が暗黙の義務になっている企業もあります。筆者もサラリーマン時代に、上司から「有給取得したら周りにお礼をするのがマナーだろ!!」と叱責を受けたこともありました。
しかし、有給休暇は労働者の正当な権利であり「恩恵」ではありません。権利行使に対して“感謝”を強要することは、パワーハラスメントや同調圧力の温床となります。本来、有給休暇は“企業から与えられる権利”ではなく、“法律上、当然に発生する権利”です。
上司や同僚が「みんな我慢してるのに」「自分だけ休むなんて」といった発言をするのも、有給取得の阻害やハラスメントに抵触する恐れがあります。
感謝の言葉自体は人間関係を円滑にする上で悪いことではありませんが、それが「言わないと評価が下がる」「気まずくなる」ような職場風土は、法的にはもちろん、組織運営上も非常にリスクが高いといえます。
「3日以上連続取得禁止」…最も典型的なNGルール
「有給休暇は原則1日ずつ」「3日以上の連続取得は禁止」このルールもまた、法律上に問題となるルールです。労働基準法第39条では、有給休暇の連続取得日数を制限する規定は存在しません。原則、労働者は希望する時季(時期ではなく)に、希望する日数を連続で取得することができます。
もし企業が「3日以上は業務に支障が出る」と主張する場合、それを根拠に時季変更権を行使することは可能ですが、その場合も「客観的な業務上の必要性」が立証できなければ認められません。
2019年の法改正(年5日取得義務化)以降、有給休暇の管理やルールは監督署の調査でも重点確認項目に挙げられます。単に「慣例だから」「みんなそうしているから」という理由で謎の企業ルールで有給取得を制限している場合、労働基準法違反として労働基準監督署から是正指導を受けるリスクもあります。
