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金価格、国内店頭で初の2万円突破…需要拡大の背景に「米利下げ観測」と「地政学リスク」

金価格、国内店頭で初の2万円突破…需要拡大の背景に「米利下げ観測」と「地政学リスク」

国内の金相場が9月29日に過去最高を更新し、1グラムあたり2万円台に突入した。FRBの利下げ観測や中東・ウクライナ情勢などの地政学リスクが重なり、安全資産としての金需要が一段と高まっている。貴金属市場全体も活況を呈しており、個人投資家の関心も高まっている。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

高騰する金、個人投資家からも熱視線

田中貴金属工業(東京)が発表した店頭小売価格は、1グラム当たり2万18円となり、国内の金相場では初めて2万円の大台を突破した。また、買い取り価格も1万7,809円と過去最高を記録した。個人投資家の間でも注目度は高まり、短期的には高値での売買が活発化している。

楽天証券コモディティアナリストの吉田哲氏はこのように説明する。

「国内の金価格だけを見ると、『なんでこんなに上がっているの?』と思うかもしれませんが、実際には海外の金価格やドル円の動きが大きく影響しています。基本的には海外のドル建て金価格を円に換算して算出されており、海外市場の動向が直接的に反映されます。そのため、海外で金価格が上昇すれば、国内の値段も上昇する傾向があります」

日本の店頭価格は、国内の売買だけで決まるわけではないのだ。さらに、価格上昇の短期的要因と長期的要因について、このように説明する。

「短期的には、ドル建て金価格の変動と円相場の動きが国内価格に強く影響します。たとえば、8月下旬以降はドル建て金価格の上昇と円安が同時に進んだため、国内価格がぐっと高くなったという状況です。一方で長期的には、金の需要、中央銀行による買い入れ、世界の民主主義の後退や分断のリスクなどの土台に支えられていると考えられます。短期と長期、両方の要因を受けて価格が動いています。単なる投機的な動きだけで価格が決まるわけではありません」

海外市場とドル円相場の影響/地政学リスクと金融政策の影響

FRBの利下げ観測も、金への資金流入を後押ししているようだ。FRBの利下げ観測を一因としたドル建て金価格の上昇と相まって、国内市場でも金への関心が高まっている。

「FRBが利下げを実施する、もしくは利下げ期待が高まると、米ドルを保有するメリットが薄まる懸念が強まり、金に資金が流れる場合があります」(吉田氏)

中東情勢やウクライナ情勢など国際的不安要素も、金価格を押し上げる背景となっている。

「地政学リスクも大きいでしょう。中東やウクライナ周辺の緊張などが、海外の金価格を押し上げ、それがそのまま国内価格に反映されています」(吉田氏)

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