◆今までの仕事に未練はない。今後の目標は?
ーー夜の世界、そして経営者として「未練」のような感情はありますか?村山陽子:現時点では、全くありません。銀座のお店は、自分の理想を形にすることができ、コロナ禍で閉めることになった時も後悔はありませんでした。「やり切った」という清々しい気持ちです。70歳か80歳になったら、お洒落なバーでもやってみたいと漠然と思ったことはありますが、今はないですね。それ以上に、神職という仕事に大きなやりがいと魅力を感じています。
ーー今後、神職として「こんな活動をしてみたい」と思う夢があれば教えてください。
村山陽子:一番の目標は、次の宮司を育て、この神社を未来へ繋いでいくことです。そのために、地元の中から神職を目指す人を支援し、地域内で神社の担い手が育っていくサイクルを作ることが私の大きな役目だと考えています。出来れば、5年以内には次の宮司にバトンタッチしたいですね。
個人的には、来年から神社での仕事をしながら1〜2年ほど休息の時間を増やし、国内外を旅して見聞を広めたく思っています。その経験を経て、神職としてさらに道を突き詰めるのか、あるいはまた新しい挑戦を見つけるのか。今はまだ分かりませんが、自分の心に従って進みたいです。神職という仕事の魅力や、選択肢の一つであることを、もっと多くの人に知ってもらうための発信も、いずれはしていきたいですね。
<取材・文/菅原春二>
【菅原春二】
東京都出身。フリーライター。6歳の頃から名刺交換をする環境に育ち、人と対話を通して世界を知る喜びを学んだ。人の歩んできた人生を通して、その人を形づくる背景や思想を探ることをライフワークとしている。

