贅を尽くした美に圧倒される「川久ミュージアム」

白浜の海辺に突如として現れる、海に浮かぶ宮殿。それが総工費400億円というバブル絶頂期の日本だからこそなしえた世界に誇る美術館ホテル「ホテル川久(かわきゅう)」!
「えーっ! 日本にいるのを忘れそう!」と沙織里さんもびっくり。噂には聞いていましたが、私も訪れるのは今回が初めて。想像以上のスケールです。

中に入ると、ゴールドに輝くドーム天井に目を奪われます。しかもペンキじゃないんです。22.5金のホンモノの金箔が貼りめぐらされているんです! 天井を支える24本の柱はシュトックマルモ(石膏擬石技法)と呼ばれる特殊な技法で作られています。1本1億円(しかも当時の!)というから耳を疑います。
床のモザイクも、イタリアから呼び寄せた職人たちの手仕事によるもの。沙織里さんの足もとのモチーフは藤で、日本的なデザインを表現している唯一無二の美です。
1993年、最も優れた建築に授与される「第6回村野藤吾賞」を受賞した館内は、宿泊客以外でも川久ミュージアムとして見学することができます。

建築自体が美術品のような館内には、インテリアから絵画まで、世界中で買いつけられた超一流の美術品も展示されています。

ドイツの伝説的照明デザイナー、インゴ・マウラー氏が手がけたドロミティールームには、20世紀のイギリスを代表するアーティスト、ヘンリー・ムーア氏の「母と子」をテーマにした作品がずらり。ヨーロッパ、アフリカ、アジア、そして日本各地から一流のアーティストや職人が集結して作り上げたホテル川久は、まさに夢の城です。

お座敷には、美人画を得意とした日本画家・中尾淳氏による「六曲一双」が飾られていたので、ちょっとあやかってみました。

イタリアのアーティスト、ジョルジオ・チェリベルティ氏が「愛と自由と平和」をテーマに天井画を手がけたサラ・チェリベルティ。寄木づくりの床も美しい!

夢見心地で見学を終え、遺跡から移してきたという2世紀ごろのビザンチンモザイクが飾られているラウンジ「ミュゼ」へ。窓の外には海が見えます。忘れかけていましたが、見えている海は日本の、和歌山の、田辺湾です。
白浜を訪れるならハズせない! 「ミルク&ビアホール 九十九」

白浜の銀座(本当です)にある、ミルク&ビアホール 九十九(つくも)は20年以上愛される名店。地元の食材にこだわり、オーソドックスでありながら記憶に残る味を供しています。
夕食をいただきに伺うと、店主の古久保寿樹さんのご親戚が沙織里さんのお知り合いであることが判明し、大盛り上がり!

「何を召し上がったかで、お越しになられた季節がわかります」というほど旬の野菜を詰め込んで焼き上げた看板メニューのグリルサラダのほか、ごくわずかしか流通していない和歌山県唯一の地鶏「龍神コッコ」のたまごを使ったオムレツ、大人気のしらすのペペロンチーノをオーダー。

白浜の地ビール「ナギサビール」も味わえます。国際的なビールの品評会で金賞を受賞した「ペールエール」は深いコクとほのかに甘みがあり、香りは柑橘のようにフルーティ。

お店の奥には窯がしつらえられており、ナラの木の薪でピザなどを焼き上げています。生ハムたっぷりのピザをいただきました。イチボのステーキや冬にはジビエも窯焼きで供しているそう。

こちらでも、旬のいちじくをいただきました。ベーコンとカマンベールチーズとともに仕上げたアヒージョ! いちじくって、焼いても美味しいんですね。

店内にジャズ関連のアイテムが多いことに気づいた沙織里さんが古久保さんに尋ねてみると「ジャズ好きなんです。だから僕、みんなにジャズくんって呼ばれてるんで、本名知られてへんかも(笑)」とのこと。

今ではこだわりの詰まったお料理を目当てに常連さんが絶えませんが、オープン当初はいわゆる普通のバーだったそう。おつまみを作っているうちにここまで辿り着いたというのだから、そのセンスに驚かされます。
系列店に、こちらのお店から徒歩数分のところにある姉妹カフェ「九十九別邸 豆の湯」のほか、数寄屋建築をリノベーションした一日一組限定の宿「九十九荘」も。

沙織里さんたちとこの日最後に訪れたのは、8月1日にオープンしたばかりの白良浜に面したビーチカフェ「Suntide Cafe & Bar Shirarahama」。「盛りだくさんでしたねぇ」と、一日を振り返る沙織里さんたちは、紀州の梅酒を使ったカクテルをオーダー。

「楽しかった〜! 今日行ったところ、またゆっくり来ようね」と乾杯するおふたり。テラス席のほか、ガラス張りの店内からも海を眺めることができるニュースポットは、大人がナイトタイムを過ごすのにぴったり。

