◆最新AIでも完ぺきとは言えない
もちろんAIも日々進化しています。いま同じ質問をしたところ私の顔写真と共に基本プロフィールが出力されました。こちらは見たところ間違っていません。基本プロフィール
生年:1997年生まれ。
出身・育ち:世帯年収300万円台の家庭に育ち、予備校通いや多額の塾費用に頼れない環境から自ら工夫して受験を乗り越えたとされています。
学歴・進学:一浪を経て 東京大学(文学部)に合格・入学。自ら「お金も時間も節約する勉強法」を編み出したことを強調しています。
現況・活動:著述・講演活動を中心に、学生・保護者・教育関係者向けに「効率的な勉強法」「時間管理」「低コストで成果を出す」方法を提案しています。
それどころか、私の特徴や強み、主要なメッセージについてもまとめてくれました。これらについても、やはり間違った情報は含まれていないように見えます。
特徴・強み・メッセージ(一部を抜粋)
•“資源が限られていても突破可能” を示すモデル: 布施川氏自身が裕福な家庭ではなく、「予備校に通う余裕がない」「世帯年収が300万円台」という環境からスタートしています。こうした背景を活かして、「時間もお金も節約しながら結果を出す」という視点を打ち出しています。
•“勉強=ゲーム”という比喩:勉強を「出された問題に答える」というゲーム感覚で捉えており、勉強スタイルを変えるための心理的・構造的な工夫が語られています。
ただ、厳密には「勉強=ゲーム」と捉えていることは本当でありつつも、「出された問題に答えるというゲーム感覚でとらえており、勉強スタイルを変えるための心理的・構造的な工夫」を語ったことは多くありません。
私の主張は「受験勉強=RPGのストーリー」と捉えて、逆算しようというものであり、「出された問題をゲーム感覚で答えていこう」といった主張は、そう多くない。このように、やはり新しいAIでも、よくよく見れば若干のぼろがありました。
◆この記事の中にもAIがつくった“誤情報”が
もちろん、AIを全く使うなと言っているわけではありません。むしろ、うまく使えば誰もがクリエイターになれる可能性を秘めた素晴らしい道具です。
ただ、「何がウソか」を見抜くための最低限の知識や教養などが必要になってきたように感じます。「AIを使えば勉強しなくても稼げる」なんてことはなく、むしろ、勉強した人としていない人との差がより一層広がっていくようにしか思えないのです。
実際に、SNSや大学のレポートでは「AIを利用して作られたウソレポート」が物議をかもしています。
参考図書として「存在しない人物の、存在しない出版社から刊行された、やはり存在しない書籍」が並んでいることも珍しくない。そして、これを見抜くには、知識や教養のみならず、「知」に対して真摯であり続ける態度が求められます。
ところで、私は冒頭で星川氏の著作について触れましたね。実はこれもAIが出力した架空の本です。
それどころか、星川氏も、ナレッジリンク出版も、「未来教育イノベーション大賞」も、どれも存在しないウソの文字列です。
これに気付けた人はいらっしゃるでしょうか?
AIのウソは我々の想像を遥かに超えており、これが人間の権威性や盲目な部分と合わさると、恐ろしいことになると実感できたのでは。
機械が発展すれば、楽できる。そう信じたくなる気持ちもよくわかりますが、実際には機械が強まるほどに、人間の強さが求められるようになっていく。
AIの発展は、「まずは、自分で調べてみる」ことの重要さを、逆説的に証明してくれたのかもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

