◆人間が作った生き物ゆえ「儚い存在」

游子:金魚は人間が作った生き物であり、もとを辿れば中国のフナが突然変異をしたものです。それが品種改良されて日本にわたり、武士の副業として始められたものだと言われています。美しさを試行錯誤しながら、現在の姿形になっているわけです。じっくり見ると尾の長さも色艶も身体の形も何もかもが違う生き物であり、一匹一匹に個性があります。翻って金魚は、人間から求められなくなれば、すぐに消え去ってしまう儚い存在でもあります。そうした存在が忘れられる前に、多くの人たちにいま一度知ってもらいたい。そんな思いで活動をしていますし、これからも続けていきます。
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これまで金魚が儚いと考えたことはなかった。だが游子さんの話に耳を傾ければ、人間の存在にどれほど依拠した生き物なのか理解できる。徹底的に美しく、優雅に泳ぐことでこそ愛される。人々の視線の先にいつまでも金魚がいますように。そう願う金魚娘の奮闘は泥臭く、愛情に満ちている。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

