◆凍った道で迫るエンジン音

「法定速度の40キロでも滑りそうで怖いんです。いつも20キロくらいでゆっくり走っています」
その日も同じように、市道を慎重に進んでいた。
「すると、後ろからものすごいエンジン音が近づいてきたんです。ミラーを見たら、軽自動車がピッタリ後ろについていました」
ライトが眩しいほどの距離で、車体を震わせるようなエンジン音だったようだ。
「怖かったです。道が狭くて避ける場所もなくて、緊張で手が冷たくなりました」
やがて、軽自動車は爆音を上げながら無理やり追い越していった。
◆側溝に落ちて自走不能に
「すごいスピードでしたね。地元の人なら、あんな運転は危険なので絶対にしません」
その車が見えなくなった数分後……。
「カーブが曲がった先で、軽自動車が側溝に落ちていました。車体が斜めに傾いていて、動けない状態でした」
高田さんは、その横を静かに通り過ぎたという。
「同情はしました。でも、危ない運転をしたらこうなると思いました。雪道はとくに、スピードよりも慎重さの方が大事なんです」
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

