
「一時期は8000万円くらい、銀行にあった記憶は確かにあります」。かつて一世を風靡し、通帳に巨額の数字が記されていた過去を持つタレント・青木さやかさん(50・執筆時点)。しかし、老後の頼みの綱である年金の見込額は、わずかでした。会社員とは異なり、国民年金のみに頼る個人事業主の厳しい現実。青木さやか氏著・坂本綾子氏監修の『貯蓄が苦手な人こそ読んでほしいお金の第一歩 お金まわりを見直したら人生が変わった』(日経BP)より、今さら聞けない「年金制度」の基礎と年金額の確認方法、個人事業主が年金額を「上乗せ」する方法についてみていきましょう。
将来年金はもらえるの?…今さら聞けない「年金制度」の基礎
青木 年金…。「今の高齢者はもらっていても、現在51歳の私が高齢者になる頃にはもらえないでしょう。少子化ですしね。あてにしたら痛い目みますわ」と、テレビで聞きかじった年金情報。先生、実際のところ、どうなんですか?
坂本 将来、年金をもらえないのではと言われていますが、国も完全な自転車操業ではありませんよ。
青木 あら、そうなんですか。
坂本 今、なぜ大変かというと、年金をもらう人が多いからです。こういう言い方が正しいか分かりませんが、人口が多い団塊の世代が抜ければ少し楽になるはずです。
青木 ベビーブームでしたものね、70代後半の方々。しかしながら、私の世代も第二次ベビーブーム。果たして?
坂本 さやかさん、年金というのは社会保険なんです。国では、人口の変化などいろいろな要素をもとに年金財政の検証を5年ごとに行っています。存続できるよう制度改正も行われます。払っていれば、給付額は減るかもしれないけれど、もらえないことはないと思いますよ。
20歳から60歳までの「40年間」支払うと、国民年金が満額もらえる
青木 年金の保険料はどのくらいの期間払うんでしょうか。
坂本 国民年金の保険料は月1万7510円(令和7年度)20歳から60歳までの40年間、つまり480カ月分の保険料を払った人が老後に満額の国民年金、年間83万1700円(令和7年4月分からの年金額)をもらえるんです。10年(120カ月)保険料を払うともらえる権利が発生し、保険料を払った月数に応じた年金をもらえます。
例えば払ったのが20年(240カ月)なら満額の半分です。給与をもらって働く人は条件を満たせば厚生年金にも入ります。こちらは最長70歳まで。
青木 60歳から65歳までは年金空白期間なんですね、ふむふむ。
ところで、みなさん年金を、いくらくらいもらっているのでしょう?
坂本 厚生年金がある元会社員の男性は、厚生年金が上乗せされるので月17万〜18万円ほど。もっと多い人も少ない人ももちろんいます。さやかさんは個人事業主だから国民年金だけなので少ない。ですが、年金の一番のメリットは生きている限りもらえるということです。
青木 そう聞くと、ありがたい制度なんですね。国よ感謝します(急に!)。
払えない時期があっても、「追納」すれば年金は取り戻せる
坂本 老後にもらう国民年金の半分はみんなが払う保険料から、残り半分は税金から出ます。
青木 税金でしたか。ちょっと年金のことからズレますが、税金って高すぎるのでは? お金のことを学び始めてから、税金の金額を知り、「うそでしょう?」とつぶやくこと多し。もう少しなんとかなりませんか?
坂本 さやかさん、話を戻しますと、国民年金の半分は税金から出るので保険料を納めるのが大変な時は免除の手続きをしても老後に半分はもらえる。余裕ができたら10年前までさかのぼって保険料を追納でき、年金額を回復できます。
青木 なるほど。払えないままにしていた時期、私はありそう。年金制度ってこういうものだったのか。いまさら聞けない話、堂々と聞けてよかった!
[図表]年金制度の仕組みは3段階 出典:厚生労働省の資料より編集部作成
「日本の公的年金の1階と2階にあたるのが、国民年金と厚生年金です。国民年金は基礎年金ともいい、20~60歳のすべての人が加入。会社員や公務員は2階部分の厚生年金にも入るので、2つの年金に加入することに。確定拠出年金など『3階』は自助努力で増やす年金です」
少なっ!…「ねんきんネット」で判明した「年金受給見込額」
青木 これがぜひ聞きたい。私は65歳から年金を月にいったいいくらもらえるのでしょうか?
坂本 50歳を過ぎると、見込み額が分かります。「ねんきん定期便」が21歳から毎年誕生月に送られてきているはずです。
青木 見たおぼえがないですが、うちにもですか?
坂本 捨ててしまっているのでは。
青木 正解!
坂本 「ねんきん定期便」を見ると、年金保険料を何カ月、合計いくら納めたかが記載されています。
青木 来年の誕生月まで待つしかないですね。郵便。
坂本 「ねんきんネット」というものをマイナポータルを使って連携手続きする方法もあります。早速見てみましょう。
青木 お願いします。
坂本 「あなたは350カ月支払っています」と出ました。
青木 えー、数回払っていなかったんですね。27歳ごろ。その前も払った記憶はないですが。
坂本 お母さまが払ってくださっていたのでは。
青木 きっと、そうなんでしょうね。母は私の仕送りも貯金し、遺産として遺してくれました。なんかもう、土下座させてください。
坂本 このまま60歳まで払い続けたら、65歳でもらえる金額は「月6万491円」です。
青木 少なっ!
坂本 個人事業主は国民年金のみだから年金が少ないんです。そのかわり小規模企業共済など個人事業主が使える制度がいくつかあります。iDeCoも会社員は月2万3000円が掛金上限のところ、個人事業主は月6万8000円まで掛けられます。
青木 月6万円では、マンションの管理費と駐車場代でほとんどなくなりますよ、年金だけで暮らすことはムリと断言できますね。まずいな、結婚しようかな。
坂本 お金のためにですか?
青木 それ以外に理由はありませんね、この瞬間。
坂本 現在、夫が亡くなったとき遺族年金を受け取るには、妻の収入に制限があり、もらえないかも。
青木 50歳を超えると分かること多し。男と暮らす才覚なし。恐れるのは恋してしまうこと、そして奇跡的に相思相愛になってしまうこと、苦手な男との暮らしにチャレンジしようと脳がバグってしまうこと。そうなった時に考えよう。今は働けがむしゃらに。貯めよ金。
青木 さやか
タレント/俳優/エッセイスト
坂本 綾子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/日本FP協会認定CFP®
