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〈月収30万円〉なら20日間の「介護休業」で13.4万円支給。ビジネスケアラーの“休業中の給料”をカバーする「介護休業給付金」の仕組み【東大卒FPが解説】

〈月収30万円〉なら20日間の「介護休業」で13.4万円支給。ビジネスケアラーの“休業中の給料”をカバーする「介護休業給付金」の仕組み【東大卒FPが解説】

超高齢化社会が進む日本では、就業と介護を両立する「ビジネスケアラー」が急増しています。一定期間介護で会社を休む場合に使用できるのが「介護休業制度」です。本記事では、服部貞昭氏による著書『東大卒のファイナンシャル・プランナーが教える 届け出だけでもらえるお金大全——一生トクする!セーフティネットのお金事典』(自由国民社)より一部を抜粋、編集し、介護休業制度について詳しく解説します。

「介護休業」の取得条件

日本は超高齢化社会で、2025年には約800万人いる「団塊の世代」が全員75歳以上となります。それに伴い、医療や介護を必要とする人が増えます。同時に「ビジネスケアラー」と呼ばれる、働きながら介護をする人が増えています。

経済産業省が発表した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」によると、ビジネスケアラーは2020年時点では262万人ですが、2030年には318万人に達し、経済損失は9兆円にのぼると試算されています。

仕事と介護を両立させる職場作りが急務となっていますが、介護で会社を休む人を支援するのが「介護休業給付金」です。子育てをする人がもらえる育児休業給付金と似ていますが、違うところもあります。

介護で会社を休むことを「介護休業」といいます。

「介護休業」は、育児・介護休業法で定められており、すべての会社が条件を満たした社員に休みを与える必要があります。

介護休業を取得するための条件は以下のとおりです。

・入社1年以上

・家族の常時介護のため2週間以上の休みが必要

・職場復帰を前提として介護休業を取得する

これらの条件をすべて満たす場合、対象家族1人につき、通算で最長93日、3回まで介護休業を取得できます。

介護の対象となる人は、本人の配偶者(事実婚を含む)、父母(義父母を含む)・祖父母、子(養子を含む)・孫、兄弟姉妹、配偶者の父母です。

実際に2週間以上休まなくても、家族が常時介護を必要としている状態であれば対象になります。たとえば、介護している途中で介護施設に入居できたので、実際の休みは10日間で済んだ場合もOKです。

「介護休業給付金」は給料の約3分の2支給

介護休業をとっている間は、通常、給料は支払われませんので、給料の67%の介護休業給付金をもらえます。ただし、会社から給料が13%以上支払われるときは、月給80%との差額が支給されます。給料が80%以上支払われるときは、支給されません。

もらえる金額は、

介護休業を開始した時の1日当たりの給料(※)×休んだ日数(最大93日)×67%

※ 直近6ヶ月の給料を180で割ったもの、上限17,740円、下限3,014円(2025年8月時点)

です。

たとえば、月給30万円の人が20日間の介護休業をとったら、もらえる金額はこのようになります。

1日当たりの給料=30万円÷30日=10,000円

給付金=10,000円×20日×67%=134,000円

介護休業をとっている間も、一部、働くことができます。ただし、支給対象期間である1ヶ月当たりの就業日数が最大10日以下という条件があります。

介護休業給付金の申請は、会社がハローワークに対して行います。自分で申請する必要はありません。

介護休業給付金は“手取りベース”で給料の約8割

介護休業給付金は給料の約3分の2(67%)ですが、手取りベースで計算したら約8割になります。

給料を通常通りもらった場合は、そこから税金と社会保険料を引かれます。月給30万円の人であれば、手取りはだいたい25万円となります(扶養家族がいない場合)。

介護休業給付金を30日分もらったら、月給の67%で約20万円ですが、非課税です。

介護休業中でも、社会保険料は支払う必要があります。ここは、社会保険料が全額免除される育児休業とは大きく違うところです。社会保険料を毎月会社に振り込むか、または、職場復帰後にまとめて払うかなど、払い方については会社と協議して決めることになります。

介護休業の期間が短いワケ

育児休業(育休)が約1年あるのに対して、介護休業は最長93日と短いです。93日では介護しきれないと不満を感じる方がいるかもしれません。

実は、育児休業と介護休業では会社を休む目的が違うからです。育児休業は、本人が育児をするための休業です。育児と仕事を両立するのではなく、いったん仕事を休んで「育児に専念する」ことがポイントです。

一方、介護休業は、本人が介護をするためだけでなく、介護と仕事を両立するために体制を整える休業という意味合いがあります。介護は短期間で終わるものではなく、家族が生きている限りずっと続く可能性があります。その間、ずっと会社を休むわけにはいきません。

重要なのは、介護休業を取得している間に、ケアマネジャーに要介護認定をしてもらったり、在宅で介護するのか施設に入居するのかを決めたりなど、介護と仕事を両立するための準備をすることです。

ただ、会社側も本人も、介護休業の趣旨を理解していないと、いたずらに時間を過ごして93日間が過ぎてしまうことになりかねませんので、ケアマネジャーなどと連携しながら休んでいる期間を有効活用することが重要です。特に、初めて介護をする場合は、右も左もわからず困りますから、市区町村などの介護の相談窓口に早めに相談に行くようにしましょう。

介護による退職は7日後から「失業手当」が支給される

介護と仕事の両立が難しくやむを得ず退職せざるを得ないこともあるでしょう。その場合、会社都合退職ではなく自己都合退職になります。

ただし、介護による退職は、やむを得ない理由で退職したものであり「特定理由離職者」に該当しますので、待機期間は7日間ですみ、失業手当を申請して7日後から失業手当をもらえます。

失業手当の金額と支給される期間は、通常の自己都合退職と同じになります。

育児と親の介護が重なった場合の制度選び

結婚して子どもを出産する年齢が高くなっていますが、親の介護と重なってしまうこともあるでしょう。介護休暇と育児休業は同時にはとれませんので、どちらかを選ぶことになりますが、育児休業を取得するほうがお得です。

介護休業は最大93日間であるのに対して、育児休業は子どもが1歳になるまで取得可能ですし、場合によっては延長もできます。

また、介護休業中は社会保険料を払う必要がありますが、育児休業中は社会保険料が全額免除されます。

服部 貞昭

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

新宿・はっとりFP事務所 代表

エファタ株式会社 取締役

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