
日常生活に「マインドフルネス」を取り入れる女性が増えています。マインドフルネスは更年期のメンタルケアやストレス対策にもおすすめです。初心者が実践しやすいやり方をご紹介します。
世界が注目する「マインドフルネス」とは
まずは、マインドフルネスや瞑想とはどのようなものなのかを見てみましょう。
「マインドフルネス」と瞑想
マインドフルネスとは、評価を加えることなく「今この瞬間」に意識を集中させること。また、瞑想とは心と体の統合に焦点を当てて心を落ち着かせる技法であり、マインドフルネスは瞑想のひとつです。
誰もがやっている「マインドワンダリング」
何かしているときに課題から逸れて無関係な思考に没頭することを「マインドワンダリング」といいます。マインドワンダリングはいつの間にか考えている非意図的なものと、自分から考える意図的なものがあります。
マインドワンダリングは誰もが日常的にやっていることです。考えても先につながらないことをぐるぐると思考して心が乱れてしまう、という経験は誰しもあるでしょう。
このように、非意図的にネガティブなことを考えてしまうクセがあると、過去への後悔や未来への心配などの堂々巡りにつながり、不安や抑うつを強めるといわれています。
なお、マインドワンダリングは創造性の高さと関連があることも示されており、すべてのマインドワンダリングが心にネガティブな影響を及ぼすわけではありません。
「マインドフルネス」で心身を整える
マインドフルネスは五感(視覚・味覚・嗅覚・聴覚・触覚)や呼吸に意識を向けることで、注意を身体感覚に集中させて、とりとめのない思考に流されないようにするのが目的です。人間の脳は感覚と思考の両方に集中することはできないのです。
マインドフルネスは企業や学校教育、トップアスリートなどに広く取り入れられており、今や世界中から注目されています。
マインドフルネスに期待できる効果
マインドフルネスを実践することで次のような効果が期待できます。

ストレスの軽減
マインドフルネスはあれこれ考えて心が乱れてしまうとき、身体感覚に注意を向けることで思考を落ち着かせることができ、ストレスや不安の軽減が期待できます。落ち着いて五感や呼吸を意識すれば、交感神経と副交感神経のバランスも整います。
集中力の向上
マインドワンダリングの状態は注意力や生産性を低下させることが指摘されています。マインドフルネスで「今、この瞬間」に意識を向けることで集中力を高められ、パフォーマンスを最適化する効果が期待できます。
ウェルビーイングの向上
マインドフルネスはウェルビーイングの向上にも役立ちます。ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいいます。
更年期以降を健やかに過ごすためには、物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさや健康も大切です。メンタルヘルスに役立つマインドフルネスは人生をより良い方向へ導くひとつの手段といえます。
このほかにも、睡眠や体重コントロールなど、マインドフルネスのさまざまな健康効果を検証する研究が進められています。
更年期のストレス対策にもおすすめ
マインドフルネスは更年期のメンタルケアやストレス対策にもおすすめです。
ストレスを感じやすい更年期
更年期とは閉経をはさむ前後5年間を指し、一般的に45~55歳頃までです。この時期はホットフラッシュやめまい、イライラ、不安感など、さまざまな身体的・精神的不調が現れることがあります。
主な原因は卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が急激に減少するため。ほかに性格や家庭、仕事などの環境も影響するといわれています。
50代女性はホルモンのゆらぎに加え、家庭や仕事で複数の役割を担っていることが多く、つい頑張りすぎてストレスをためてしまいがちです。
情報社会もストレスの一因に
また、スマートフォンやインターネットが普及した現代では、常に情報に追われて疲れてしまったり、他者と自分を比較して落ち込んでしまったりすることも多いもの。物や情報が豊かになったことで、多すぎる選択肢から「選ぶストレス」を感じることも少なくありません。
こうした状況下で、頭の中の雑音を落ち着かせて心をしなやかにするために、マインドフルネスをはじめる人が増えています。
マインドフルネスで大切なこと
マインドフルネスを実践するうえで知っておきたいことをまとめました。

自分を責めない・ジャッジしない
マインドフルネスに取り組むときは「自分を責めないこと」「良い・悪いといった評価をしないこと」が大切です。
たとえば意識が「今、この瞬間」から逸れてしまったときに「間違えた」「失敗した」などと思う必要はありません。意識が逸れてしまったらそのことに気づき、再び引き戻せば大丈夫です。
マインドフルネスは自分の頭の中で起きていることに気づくこと、そしてそれをありのままに受け入れて手放すことを繰り返し実践していくものです。
継続するうちに日常生活でも応用できるようになり、自分を縛っている思考を手放して感情をコントロールできるようになります。
マインドフルネスの安全性
重い精神疾患がある人は、マインドフルネスを実践することで症状を悪化させる可能性があるため、もし取り組む場合は主治医に相談する必要があります。
また、医療機関への受診を先延ばしする理由としてマインドフルネスを利用しないことも大切です。特に更年期は心身のさまざまな不調が現れやすい時期。つらいと感じる症状があれば我慢せず、早めに医療機関を受診しましょう。
なお、厚生労働省によると、マインドフルネスは基本的にリスクが少ないと考えられていますが、中にはネガティブな経験をする人もいます。6,000例以上を対象とした研究では、参加者の約8%が不安や抑うつなどのネガティブな経験を報告しています。
初心者におすすめのマインドフルネスのやり方
マインドフルネスはいわば「心のエクササイズ」。短い時間でも継続することで心に筋肉がついて定着します。ここでは、50代女性が日常生活に取り入れやすい簡単なマインドフルネスのやり方をいくつかご紹介します。

葉っぱのエクササイズ
つらい感情を手放したいときに役立つエクササイズです。椅子に座った姿勢でも、寝ながらでもできます。
1.自分が川岸でゆったり流れる小川を眺めている姿をイメージします。そこで葉っぱが流れて来ては去って行き、やがて消えていく様子を眺めています。
2.次は、今の自分の頭の中の思考に意識を向けます。浮かんできたことをひとつずつ葉っぱに乗せます。(仕事のこと、やるべき用事、昨日楽しかったことなど)
3.思考をのせた葉っぱは川の流れにのって小さくなり、やがて自然に消えていきます。
味わうマインドフルネス
食べることを意識しながら体験するエクササイズです。
1.ひと口で食べられるナッツやチョコレート、レーズンなどを用意します。
2.手のひらにのせて、初めて見るような気持ちで色や形などをじっくり眺めます。
3.舌の上にのせて、1分ほど味や形、重みを意識します。
4.ゆっくりと噛んで飲み込み、甘みや苦み、溶けていく様子、胃の中へ落ちていく感覚を味わいます。
3分間・呼吸を意識するマインドフルネス
緊張をほぐしてリラックスしたいとき、座ったまま実践できるエクササイズです。3つのステップに分かれており、それぞれ1分程度が目安です。
1.頭の中に浮かんでいる思考や感情に意識を向けます。ポジティブなことも、ネガティブなことも、外から観察するようなイメージでただ気づいて認めます。
2.次は呼吸に集中します。体の中を通る呼吸の流れを意識し、肺が広がったり縮んだりするのを感じましょう。
3.最後は体全体へと意識を広げます。頭の先からつま先まで、呼吸が体を満たしていくのを感じましょう。
(まとめ)
マインドフルネスは更年期のゆらぎがちな気持ちを落ち着かせて、しなやかな心をつくるために役立ちます。まずはすき間時間にできるエクササイズから取り入れてみてはいかがでしょうか。
画像協力/PIXTA
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