赤ちゃんが生後初めて迎える節句は「初節句」といい、祖父母から贈られたひな人形や武者人形を飾り、お祝いをする習慣があります。
現代の家庭では、どのように初節句をお祝いしているのでしょう? 育児情報誌「miku(ミク)」編集長で、現代の子育て事情に詳しい、高祖常子さんに伺います。
「初節句は、生まれて間もない赤ちゃんが健やかに成長することを願って、お祝いする行事です。生後1~2カ月の場合など、赤ちゃんとママに負担が大きいようなら、翌年に繰り越してお祝いすることもあります」(高祖さん 以下同)
●女の子の初節句「桃の節句」の祝い方
「桃の節句は、紙や草で作った人形に災いを移して厄払いする『上巳節(じょうしせつ)』と、平安時代に貴族の子どもの間で盛んになった紙の人形のおままごと『ひいな遊び』が結びついて発展した行事です。女の子が生まれると、その子のためにひな人形を用意し、不幸は身代わりとなって人形に受けてもらい、健やかに成長しておひなさまのように幸せが訪れることを願うようになりました」
桃の節句の別名は“ひなまつり”。ひな人形は欠かせないアイテムですね。祖父母が贈るものとされていますが、最近の傾向はどうなのでしょう?
「昔は、初節句にひな人形を母親の実家から贈るという習わしがありましたが、現代では、双方の祖父母で相談したり、双方から人形代を援助してパパ・ママが好みのものを選ぶことが増えています。
7段飾りなど豪華なものから、こじんまりしていても高級なもの、子どもの顔に似せたものなど、いろいろなひな人形があります。最近は、住宅事情に合わせて段飾りでも小振りなものや、お内裏様とおひな様だけのものも人気です」
●男の子の初節句「端午の節句」の祝い方
「端午の節句は江戸時代に五節句のひとつに定められ、武を尊び立身出世を願う男の子の行事として定着していきました。
家の中には、強くたくましい男性に成長するように願いを込めて鎧を着せた人形や兜飾りを、家の外には、立身出世を祈る鯉のぼりを飾ります」
端午の節句の人形は、桃太郎や金太郎から、子どもの姿をした人形に鎧を着せたもの、鎧や兜だけを飾るものなど様々です。
「桃の節句と同様、人形は母親の実家から贈る習わしでしたが、今は両家で折半する場合も多いようです。
鎧兜は、兜飾りが主流で、住宅事情によりコンパクトなタイプが増えています。最近では、パパやママの好みの戦国武将の兜をデザインした兜飾りを選ぶケースも多くなっています。
鯉のぼりを飾る場合は、竿が倒れたり、鯉が飛んでいかないように注意しましょう。マンションなどの住宅事情によって、飾らないケースも増えています。マンションの場合は、お天気の日に小さな鯉のぼりをベランダに飾ることも多いようです」
「初節句には、赤ちゃんの成長といただいた節句人形のお披露目を兼ねて、双方の祖父母や親戚を招いた食事会を行うのがおすすめ」と高祖さん。
パパ・ママと赤ちゃんだけでお祝いする場合は、ひな人形や兜飾りの前で赤ちゃんの写真を撮り、祖父母に贈ってあげましょう。
(文・やまもとさくら+クレッシェント)