患者数は90万人以上! うつ病に注意!

患者数は90万人以上! うつ病に注意!

第1回 心の不調とどう向き合う?
「夜、眠れない」「食欲がない」「疲れやすい」「いつもだるい」「めまいがする」「頭が痛い」「イライラする」「集中できない」…。こういった症状に悩まされ、最近どうも心身の調子がよくない。これってもしかして「うつ病」だろうか。

「たしかに一般的な『うつ病』の症状ですが、うつ状態になる理由は人それぞれ。悲しみや落ち込みの原因を知り、それをきちんと和らげなければ、治るものもなかなか治りません。すべてを『うつ病』とひと括りにして、『うつ病』の薬を処方したから万全というわけではないのです」

こうアドバイスをくれたのは、心療内科みゆきクリニックの塙(はなわ)美由貴先生。特に女性は、「妊娠うつ」や「産後うつ」といった言葉があるように、月経や妊娠、出産といったホルモンバランスの変化が心身の不調を招くこともある。

「女性が子どもを持つときには大きな責任を伴うもの。『妊娠うつ』や『産後うつ』の多くは、急激な環境の変化に心身がストレスやプレッシャーを感じているからです。ただし、適切な治療を受ければ、1カ月ほどで症状は改善されていきますよ」(以下 塙先生)

つらいと感じたときはひとりで抱え込まず、家族や友人など、周囲の人に「ちょっとだけつらいから助けてほしいの」とサポートを求めよう。自分の気持ちを吐き出すだけでも、気持ちが晴れることもある。

また、塙先生によれば、症状から「うつ病」だと思っていても、実はまったく別の病気であることも十分にあり得るという。

患者数は90万人以上! うつ病に注意!

「女性の場合は、同様の症状で『甲状腺機能低下症』のこともあります。これは、甲状腺ホルモン、つまり首のところにある内分泌ホルモンが不足する病気です。具体的には、『うつ病』と同じく情緒不安定になったり、無気力になったりするのですが、甲状腺機能低下症であれば、それを改善する治療を受ける必要があります」

気分の落ち込みや不眠、イライラが続く場合、いたずらに症状を長引かせるのではなく、一日でも早く心療内科や精神科でカウンセリングを受けよう。医師と不調の原因を探る際には、甲状腺機能低下症など、別の病気も疑ってくれる医療機関を訪れると、より詳しく自分の症状を知ることができる。治療方針についてほかの医師の意見を求める、いわゆるセカンドオピニオンを活用するのも手だ。

うつ病は男性よりも女性のほうが、ライフステージの変化が大きいため発症しやすいとされる。誰にでも発症する可能性はあるので、「おや?」と感じたらなるべく早めに病院の門戸を叩こう。
(二本松菊子+ノオト)

お話をお聞きした人

塙美由貴
塙美由貴
心療内科みゆきクリニック
心療内科みゆきクリニック院長。精神分析学会認定精神療法医、精神神経学会認定医&指導医、精神保健指定医。食事療法や精神分析を応用して治療成績を上げている。
心療内科みゆきクリニック院長。精神分析学会認定精神療法医、精神神経学会認定医&指導医、精神保健指定医。食事療法や精神分析を応用して治療成績を上げている。