ホルモンバランスの変動や社会環境の変化などにより、男性よりも女性に多いといわれる「うつ病」。なんだか気分が沈んでいる=「うつ病」と思いがちだが、心療内科みゆきクリニックの院長の塙(はなわ)美由貴先生によれば、「甘いものの摂りすぎが心の不調の原因かもしれません」という。一体それはどうして?
「人類の歴史において、砂糖など甘いものが広く行きわたったのはごく最近のこと。そのため、人の体は砂糖の過剰摂取に慣れていません。甘いものだけでなく、炭水化物をたくさん食べて急激に血糖値が上がると、体は糖分を分解するインシュリンというホルモンを分泌し、血糖値を下げようとします。実は、『うつ病』に見られる気分の落ち込みやイライラは、血糖値が急激に下がったときにも見られるのです」(以下 塙先生)
低血糖状態は“生命の危機”につながるため、脳は「血糖値を上げろ」という緊急指令を出す。結果、血糖値を上げるためにまた甘いものが食べたくなる…。この悪循環に陥り、血糖値が乱高下を繰り返してしまうと「うつ病」と同じ情緒不安定をもたらすのだ。
「一般的に『妊娠うつ』や『産後うつ』と考えられる症状であっても、砂糖の過剰摂取と、それに伴う血糖値の乱高下が、不安や憂鬱の原因となっている可能性は低くありません。この場合、症状のメカニズムが全く異なるため、『うつ病』と同じ薬の処方ではなく、糖分の摂取を控えるアプローチが症状改善に必要になってきます」
ちなみに、糖分の摂りすぎは腸内の悪玉菌を繁殖させ、腸内細菌のバランスが崩れる原因にもなる。すると、免疫力が低下して、体の抵抗力も落ちることに。妊娠によって免疫力が低下しているママは、特に気を付けたほうがよいだろう。
妊娠中や産後にうつっぽい症状が出た場合、ひょっとしたら糖分の摂りすぎがその憂鬱さや心のモヤモヤの原因かも。まずは食生活を見直し、それでも心が晴れないときは医師に相談してみよう。
(二本松菊子+ノオト)