そもそも「DV」とは、配偶者や恋人など、親密な関係の間で行われる暴力のこと。殴る、蹴るなどの身体的暴力のイメージが強いが、最近は “精神的な暴力“も注目されている。DVについて、都の配偶者暴力相談機関に話を聞いた内容をまとめた。
まず、身体的DVには「平手で叩く」「小突く」「殴る」「蹴る」「髪を引っ張る」「物を投げる」などの行為が該当する。また、性交渉を強要したり、裸の写真を無理やり撮ったりする行為などは「性的暴力」に当たり、たとえ夫婦間であっても暴力とみなされる。
一方、精神的DVは、言葉による暴力や物を壊したりするなどの行為が該当する。その一例は次の通りだ。
・大声で怒鳴る
・大きな音を立てて威嚇する
・話しかけても無視をする
・「おまえはバカだ」「無能だ」「だからダメなんだ」など、人格を否定するような言葉を投げかける
・人前でバカにする
・「別れるなら自殺する、殺す」などと言って脅す
・「子どもに危害を加える」などと言って脅す
・壁を殴ったり、物を投げて壊したりして威嚇する
・相手が大切にしている物を壊したり、捨てたりする
・実家の家族や、友人との付き合いを制限する
・電話やメール、手紙を細かくチェックする
実は、上記のような状態に自分が陥っていても、自分がDVの被害に遭っていることに気づいている人は少なくないという。というのも、精神的DVは身体的DVよりも表面化しづらいという側面があるからだ。
その理由は、精神的DVの多くが家庭内で長期に渡り繰り返し行われ、被害を受けている人にも周囲の人にもわかりづらく、理解されにくいから。
また、加害者は『お前がだらしないから、しつけてやっている』『お前がバカだから、教えてやっている』といった態度で迫り、被害者は何度も言われているうちに『自分に原因があるんだ…』と思い込まされていくことが多い。しかし、どんな理由でもこういった暴力は許されない。
もし、「夫の言動はもしかしてDVなのかも…」と感じたら、ひとりで悩まず、各都道府県が展開している相談機関に相談しよう。この時、自分の被害状況や相談先のメモなどを残さないこと。加害者に露見した場合、暴力がさらにエスカレートする可能性があるからだ。
相談は加害者が不在であることを確かめるなどした上で、安全な環境で行うことが大切。相談機関にその場ですべて話すようにし、自分の身を安全に守ることを第一に考えよう。
(北東由宇+ノオト)