『夫婦は話し方しだいで9割うまくいく』の著者でファミリーコンサルタントの高橋愛子先生は、「そもそも、恋人と夫婦では同じ相手でも関係の持ち方には違いがあります。その違いを知らないことが結婚後のズレにつながるのです」と断言する。
「結婚は、“現在”だけじゃなく、その人の生い立ちから、親・家の価値観など、まるごと全部受け止めるということ。 “現在”の相手や幸せだけを見ていると、予想と現実が違ってしまうんですよ」(高橋先生 以下同)
結婚してから「こんなハズじゃなかった」と思うのは、相手がどんな育ち方をしてきたか、どんな価値観を持ち、何を重視しているかなど、相手の背景を見ていないことが原因だそう。
「結婚するにはどうしたら良いかは考えているのに、そもそも『なぜこの人と結婚したいのか』という核がない。目先のことや表面上の条件、ハウツーはよく知っているのに、支えとなる『なぜ』を持っていないと、生活を共にするのは難しいのです」
ハウツーやイエス・ノーで相手をとらえていると、その方程式が崩れたときに、許せなくなるという指摘だ。
「結婚すると、それまで見えなかったものも見え、許せないと感じる部分が出てきます。でも、それを受け入れ、互いに励まし合い、協力し合い、なんでも許し合える関係が家族なんです」
思い描いていた結婚生活と違うと感じた瞬間、「失敗した」と思う人は少なくないが、「家族関係は企業と違って、『失敗』はありません。全部が『体験』なんです」と高橋先生はいう。
「究極は、“命”のところに立ち返ること。相手を失ったときのことを考え、『まあ、生きていればいいか』と思えば、相手を許すことができ、感謝の気持ちも持てます」
責められれば責められるほど、相手は意固地になるし、自分の気分も悪くなるもの。夫婦関係に不満を抱くなら、「自分がラクになるために、相手を許す」ことが必要なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)