フィンランドの離婚率50%!絶望的な夫婦事情の原因とはいったい…

フィンランドの離婚率50%!絶望的な夫婦事情の原因とはいったい…

第3回 ここがスゴイよ! 北欧の子育て事情
フィンランドは夫婦共働きの家庭が多く、女性の8割以上がフルタイムの仕事をしています。家事・育児も夫婦で平等に参加するのが当たり前。夫婦の絆も強いことで知られています。

しかしその一方で、離婚率も50%と高く、そこにはちょっと不思議な夫婦の関係が見え隠れします。そんなフィンランドの夫婦事情について、フィンランド出身の坂根シルックさんにお話を聞きました。

仕事も育児も平等に分担

日本では未だ「女性は家庭を守るもの」という考え方を持つ人も多くいますが、フィンランドではそんな思想は皆無。すべてにおいて平等が基本のようです。

「フィンランドでは、男女ともに仕事を持つことが当たり前です。女性も家計を支えるためにやむなく仕事をする、というよりもやりがいを求めて仕事に就いている人が多いですね。そうなると、家事や育児も夫婦で分担しないと回っていきません。父親が外で働いて、子どもは母親にまかせるというケースは少ないです。そのため、子どもを持つ夫婦はチームという感じですね」(シルックさん、以下同)

また、子どもを育てるときには、“夫婦で見守る”ということを大切にしているのだそう。

「これについて怒るのはお父さん、これを注意するのはお母さんということはなく、それぞれが自然体で接します。子どもに『勉強しなさい』などと押しつけることはせずに、夫婦で見守りながら育てるというイメージですね」

フィンランドの離婚率50%!絶望的な夫婦事情の原因とはいったい…

子どもよりも夫婦の絆が優先

では、そんな理想的な考え方が基本にありながら、なぜ離婚率が高いのでしょうか? シルックさんによれば、「夫婦の絆の強さ」が逆に仇となっているのだとか。

「日本の場合は子どもが生まれると、夫婦ふたりの関係が子ども中心になるような気がします。しかし、フィンランドの場合は、夫婦の絆が強くて子どもは、その次に大切な存在という感じなんです。そのため、もし夫婦の愛情が冷めれば、子どもが大きくなるまで待つなんてことはなく即離婚してしまいます。日本人の夫婦のように寝室を分けるなんて考えられません(笑)。それが子どもの気持ちにまったく影響がないかといわれると、心配なところもありますが、とにかく我慢して夫婦を続けるということはまずしませんね。離婚によって世間から白い目で見られるということも全くありません」

福祉が充実しているため、金銭的な不安がないことも離婚のハードルを下げているようです。とにもかくにも、自分らしく生きていくために必要なパートナー、それがフィンランド流の夫婦関係なのかもしれません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)

【取材協力】

坂根シルック/Sirkku Sakane
坂根シルック/Sirkku Sakane
国立大学法人東京農工大学、リーディング大学院、特任准教授/文化人タレント ・ フィンランド語翻訳通訳家
フィンランド・ヘルシンキ生まれ。3歳で初来日、幼少期を大分市で過ごし、日本の教育を受ける。小学校卒業を期にフィンランドに帰国するも、1985年に再び来日。その後20年間、複数の在日フィンランド企業やフィンランド政府機関に勤務しながら、2人の子どもを育てる。2005年から2年間、子どもとフィンランドで生活しながら、フィンランド語翻訳通訳家として活動を初め、2007年に日本に帰国後は語学講師としても活動。現在は東京農工大学・リーディング大学院で『国際文化比較論及び日本語表現力特論』を担当しながら、全国で講演活動も行っている。また、今年11月から新たに、異文化・学び・遊びをテーマにした慈善活動”Love The Life”をスタートさせる。 日本テレビの『なんでもワールドランキング・ネプ&イモトの世界番付』でフィンランド代表として出演するなど、メディアでも活躍中。 Twitter:シルック フィンランド@Sirkku_Finland Facebook:シルック フィンランド(Finland Sirkku)
フィンランド・ヘルシンキ生まれ。3歳で初来日、幼少期を大分市で過ごし、日本の教育を受ける。小学校卒業を期にフィンランドに帰国するも、1985年に再び来日。その後20年間、複数の在日フィンランド企業やフィンランド政府機関に勤務しながら、2人の子どもを育てる。2005年から2年間、子どもとフィンランドで生活しながら、フィンランド語翻訳通訳家として活動を初め、2007年に日本に帰国後は語学講師としても活動。現在は東京農工大学・リーディング大学院で『国際文化比較論及び日本語表現力特論』を担当しながら、全国で講演活動も行っている。また、今年11月から新たに、異文化・学び・遊びをテーマにした慈善活動”Love The Life”をスタートさせる。 日本テレビの『なんでもワールドランキング・ネプ&イモトの世界番付』でフィンランド代表として出演するなど、メディアでも活躍中。 Twitter:シルック フィンランド@Sirkku_Finland Facebook:シルック フィンランド(Finland Sirkku)