赤ちゃんの肌はとっても敏感
そもそも、大人と赤ちゃんでは保湿機能に大きな差があると川手先生は言います。
「まず理解しておきたいのは、肌の保湿の仕組みです。皮膚の表面には異物の侵入を防ぐバリア機能の働きを持つ『皮脂膜』、角層の潤いを保つための『天然保湿因子』、『細胞間脂質』が存在します。この3つが肌の潤いを保つうえで大きな役割を担っています。しかし、赤ちゃんの皮膚は大人に比べると約半分くらいの薄さのため、保湿を促すこの3つのしくみが未発達なのです」(川手先生)
そのため、赤ちゃんには大人以上に冬の乾燥に気を配ってあげることが必要になるようです。
「赤ちゃんの肌は外からの刺激に対抗するバリア機能も弱く、刺激にもとても敏感です。さらに、表面を守っている脂が少ないため、身体の表面の水分が保たれにくく保湿力に乏しい状態です。そこに、冬の乾燥が加わると大人以上にかさつきや、かゆみが出てきてしまいます」
冬場の長風呂は、赤ちゃんの肌に負担大
ちなみに、刺激に弱い赤ちゃんは手で鼻水を拭いただけで鼻の下が赤く荒れてしまうことも。鼻水がついていたら、ウェットティッシュなどに保湿剤をつけて拭いてあげるといいでしょう。
また、いくら冬場は寒いからといって、あまり長湯してしまうのも肌にはよくないそう。
「熱いお風呂に長くつかる、石鹸で洗い過ぎるなどすると、過剰に皮脂を取り除いてしまうため、肌の保水性が失われ、乾燥につながってしまいます。とくに、おじいちゃんおばあちゃん世代は、熱いお湯を好まれる方が多いので、赤ちゃんをお風呂に入れてもらうときには気をつけた方がいいかもしれません。40℃を超えてくると赤ちゃんの肌にはかなりの負担になってしまいます」
水分量が少なく肌がカサカサしている状態は、かゆみを感じる神経が敏感になるのだそう。掻いてしまうと荒れて、さらにかゆくなる…一度バランスが崩れると、痛みも出て炎症もひどくなるおそれがあるのです。こうした症状を防ぐためにも、肌の様子に気を配り日頃から保湿ケアをしっかり行ってあげましょう。
(文・末吉陽子/やじろべえ)