学校問題に詳しい、全国webカウンセリング協議会理事長・安川雅史氏さんにモンスターペアレント増加の背景にて聞いた。おもに、その理由は以下4つにあるという。
1.学校への不信感
「学校側がいじめの存在を認めなかったり、隠ぺいすることが取りざたされ、学校に対して不信感を持つ保護者が増加。また、教諭の犯罪や不祥事などのニュースの影響もあり、今の学校には子どもをまかせておけないと考える親が多くなっています」(安川雅史さん 以下同)。
2.教師の業務量がパンク
「教科指導以外にもひとりの教師に課せられる仕事が多すぎて、教師に相談をしても真剣にとりあってもらえないと不満をつのらせる保護者が増えています」
3.ネット社会の発達
「ゆとり教育以降の教育現場では、ネット社会の発達も影響し、個人の権利意識が浸透しています。自分の考えをおしきるネット上の発言に影響され、同じようなやり方で学校に口出しをする親が増えています」
4.親の孤立化
「核家族化や近所づきあいの減少から、子どものことを相談する相手が身近にいない。そのため、直接的なクレームが学校や教師に向けられるようになっています」
さらにもうひとつ、モンスターペアレントが急増した理由として、メディアでモンスターペアレントの特集が組まれることが多くなり、同じような悩みを持つ先生方が声を上げやすくなった点もあげられる、と安川さん。
「昔から、“クレーマー”と呼ばれる親はいました。モンスターペアレントという言葉が生まれたことで、これまで水面下にあった問題が表面化するようになっただけ。私たちのもとへ寄せられる先生方からの相談も、年々増え続けています。やはり、一線を超えているなと思う事例ばかりです」
また相談は教師からだけでなく、「自分が学校側からモンスターペアレント扱いされている」という保護者からの内容もあるという。この問題は、今後も深刻化していきそうだ。
(文・江川知里+クレッシェント)