これって本当? 実際には生理痛が全くない人なんて少ない気がするけれど…。成城松村クリニックの松村圭子院長に聞いた。
「『生理痛はないのが正常』なんてことはありません。そもそも生理痛は、経血を体外に排出するために子宮が収縮するというメカニズムから起こります。いってみれば、軽いお産のようなもの。子宮を収縮させるホルモンのプロスタグランジンは、痛みの原因物質でもあり、プロスタグランジンの分泌によって痛みが起こるわけです」(松村院長 以下同)
ただし、生理痛が最もつらいのは、一般的に10代の頃。子宮が未熟で、入り口が硬く狭いため、経血を排出するには子宮をギュッと強く収縮させて絞り出すことになるからだそう。
「20代にもなると、子宮の筋肉も成熟し、柔軟になってきて、経血も排出しやすくなってきます。そのため、生理痛も徐々にラクになっていくのが一般的です」
生理痛の重さの個人差は、ホルモンの分泌量や子宮の傾きなどによる
そもそも「生理痛が重い・軽い」の違いは、どんなところから生じるのか。
「プロスタグランジンの分泌量や、痛みに強いかどうかという差もあります。また、子宮が後ろに傾いているなどの形状によって、経血がスムーズに排出できない人は、排出するために過度な収縮が必要となり痛みが強く生じるということもあります」
一般的には徐々にラクになってくるはずの生理痛が、大人になり、出産を経験した後にもひどい場合は、何か問題を抱えているということなのだろうか。
「個人差はどうしてもありますし、他人と比較できないために、かなりひどい場合でも『個人差の問題』『こういうものなんだろう』と思い込んでしまう人もいます。問題があるかどうかの目安として挙げられるのは、『生理を繰り返すごとに痛みがひどくなる』『痛み止めを飲む頻度が増えてくる』など、自分の通常パターンから外れてくるときです」
逆に、生理痛が突然ピタッとなくなるときは、無排卵である場合も多いそう。
ちなみに、生理痛がひどいときは、痛みが本格的になる前に痛み止めを飲むのが最も効果的な対処法だと松村院長は言う。
また、もし痛み止めが効かなくなっているような場合には、他に原因が考えられるので、早めに婦人科を受診したいものだ。
(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)