生理痛が重い人のほうが、婦人科系の病気にかかりやすいということはあるのだろうか。生理痛と病気の関係性について、成城松村クリニックの松村圭子院長に聞いた。
「確かに病気によっては、症状のひとつとして生理痛が重いというケースがあります。たとえば子宮内膜症の場合、9割の人は生理痛が非常にひどく、寝込むほどの痛みであることが多いです」(松村院長 以下同)
子宮が何らかの疾患を抱えている場合、生理を繰り返すごとに生理痛がひどくなり、病状も進行していくことがあるという。
ちなみに、生理痛によって発覚するおもな婦人科系の病気は、子宮内膜症と子宮筋腫の2つ。
「若い頃から生理痛がひどい人は、将来的に子宮内膜症になるリスクが上がるということもわかっています。その予防として、若いうちからピルを飲んでコントロールしていくことが有効です」
ただし、そもそも「現代に生きる女性」というだけで、婦人科系の病気に対してリスクを負っていると松村院長は指摘する。
「現代の女性は、妊娠・出産の回数が昔の女性より減少しています。それは、トータルの生理の回数が多いということ。妊娠、出産によって子宮・卵巣をお休みさせられる期間が少ないので、生理を繰り返すごとに進行していくような病気は、リスクが高まるのです」
「出産」は女性にとって、大きな痛みをともなう一大イベント。しかし、子宮にとっては生理をお休みできる時期。現代女性は出産回数が少ない分、子宮にかかる負担が大きいという。
痛み止めが効かない、効きにくくなったら受診を
では、生理痛がひどい人が、病院を受診したほうが良い目安とは?
「受診の目安は、痛み止めが効かないことと、効かなくなってきたということですね。『生理痛がひどくなってきた』とか『今までと違う痛みがある』というとき、痛み止めを飲んでも治まらなくて、日常生活に支障をきたす場合、寝込んでしまう場合などは、治療したほうが良いです」
生理の医学的な定義としては、持続出血日数が3~7日、周期は25~38日、量は1回につき20~140ml(実感値として、1回の生理で普通用のナプキンを1パック使う程度)が一般的な正常値だそう。
「子宮などに何らかの問題がある場合、昼用ナプキンが多い日で1時間もたないなどの人もいます。筋腫の場合などは、経血量が多くなり、貧血になることも少なくありません」
また、生理が1~2日で終わる「過短月経」や、8日以上続く「過長月経」などの場合も、注意が必要だとか。
「ただし、年齢的に自然な変化はあります。40歳前後から量がちょっと少なくなったり、持続日数や周期が少し短くなったりする場合はあります。50歳を閉経とすると、その10年前くらいから閉経にむかって体が準備をしているためです」
いずれにしろ、生理痛や生理の出血具合は、何らかの疾患や変化を教えてくれるサインの場合がある。
「生理痛がひどくなってきた」などの変化を感じたら、早めに痛み止めを飲むこと。そして、痛み止めが効かない、あるいは効きにくくなってきたと感じる場合は、必ず婦人科を受診しよう。そして、何より基本的に1年に1度は「定期検診」を受けることが重要。お忘れなく。
(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)