「乳首のコンディションは、日頃のケアによって変わります。母乳育児を予定している人は、妊娠中からケアを始めておくのがおすすめです」(平出さん 以下同)
●妊娠中から始める乳首ケア
「赤ちゃんにとって吸いやすいのは、乳首がやわらかくてよくのびるおっぱい。かたくて短縮、扁平などの乳首では、赤ちゃんが上手に吸い付くことができないため、乳首によけいな負担がかかり、亀裂などのトラブルが起こりやすくなります」
出産前に準備をせず、出産後すぐに長時間おっぱいを吸わせると、あっという間に乳首が切れてしまうこともあるのだとか。
「安定期に入って早産の心配がなくなった頃から、乳首のケアをはじめましょう。乳首に馬油などを塗ってやわらかくしてから、左右それぞれ5分くらいずつ、やさしくマッサージします。根気よく続けると、次第に赤ちゃんが吸いやすい、やわらかい乳首に変化していきます。乳首が扁平乳頭、陥没乳頭といわれる形の人は、『ピペトップ』『乳頭吸引器』などのグッズを併用するといいでしょう」
乳首は、人間の体のなかでも、特に形が変化しやすい場所なのだそう。母乳育児を予定している人は、出産前に産婦人科や助産院で、乳首の状態をチェックしてもらい、授乳に備えたケアを行いましょう。
●傷のつきにくい乳首のくわえ方
「乳首が傷つく原因の多くは、赤ちゃんが上手に乳首を吸えないことにあります。赤ちゃんが大きく口をあけ、上下にめくれあがった唇で乳輪が隠れるくらいまで深くくわえさせましょう。こうすれば、乳首を噛まれたり、切れたりすることが防げます」
ママの体形やおっぱいの状態、赤ちゃんのタイプによって、飲みやすい姿勢は違ってきます。
「産院を退院する前に、正しく授乳できているかどうかチェックしてもらうといいでしょう。傷がひどくなってからでは大変なので、とにかく最初が肝心。ひとりで悩まず、周りのサポートを活用してください。退院後は、自治体が行っている新生児訪問を利用して、指導を受けるのもオススメです」
●乳首にできた傷のケア
「傷口にはバイ菌が入りやすいので、あたたかいおしぼりなどで拭いてから、ランシノー(羊毛からとれる脂)などを塗っておくとよいでしょう。好みによりますが、傷のあるときは、コクのあるランシノーがオススメです」
症状がひどいときは、迷わず病院へ。また、痛みが強くて授乳できないときは、搾乳した母乳を哺乳ビン、スプーンなどで飲ませたり、その期間だけミルクに頼るのもひとつの手です。
痛みに耐えながらの授乳はつらいもの。適切な乳首ケアで、トラブルを防ぎましょう。
(文・やまもとさくら+クレッシェント)