「端午の節句」にはどうして「菖蒲」?
菖蒲とは、蒲(カバ・ガマ)のような、細長く丸みを帯びた花の穂をつける植物のこと。「悪鬼を払う」と言われていて、昔から端午の節句には菖蒲が使われてきました。
一般社団法人日本人形協会によると、勢力の中心が貴族から武家に移った江戸時代あたりから、「菖蒲」が端午の節句に欠かせないものになったといいます。「菖蒲」と武を重んじる「尚武」がどちらも「しょうぶ」と読むことから、「端午の節句」を「尚武の節句」として祝うようになったのだとか。昔は、家の跡継ぎ=男の子という考え方が主流だったため、生まれてきた男の子が無事に成長し祈り、一族の繁栄を願う行事として定着していったそう。
また、「菖蒲」と「尚武」だけでなく、「勝負」にもかかっているとの説もあるようです。

「菖蒲湯」以外にも菖蒲の使い方はたくさん!
「端午の節句」と「菖蒲」のつながりについてわかったところで、今度は「菖蒲」の具体的な使い方を紹介します。
屋根や軒先に菖蒲を飾ったり、菖蒲の根と葉を湯船に浮かべた「菖蒲湯」に入り、厄払いをしたりするのが一般的になっているかと思いますが、じつはほかにもたくさんの使い方があるんです!
【菖蒲の使い方】
1)菖蒲酒
菖蒲の根を刻んで漬け込んだお酒。パパの晩酌も、5月5日はビールをやめて菖蒲酒にしてみてはいかが?
2)菖蒲枕
枕の下に菖蒲を敷くだけ。邪気を払うおまじないのようなものだそう。おもに端午の節句の前日である5月4日に菖蒲枕で寝て、当日に菖蒲湯で無病息災を願うのが習わしと言われています。
3)料理の飾りつけ
パセリや刺身のつまなどと同様に、料理を盛り付ける際、飾り(全部食べる人もいますが…)として添えるのも◎。5月が旬のカツオは「勝つ男」とされ、縁起のいい魚としても知られています。端午の節句の食卓に、菖蒲とカツオで“勝負に勝つ男”。ダジャレ感は否めませんが、縁起はよさそう!
日本の伝統行事って、知っているようで知らないことが意外とありますよね。5月5日は、子どもと一緒に菖蒲湯に浸かりながら、端午の節句の歴史や菖蒲との関係など、お話ししてみてはいかがでしょうか。
(文・三軒茶屋すみ子/考務店)