骨格的な不正を改善できる小児矯正
早期から始める小児矯正と成人矯正では、どんな違いがあるのでしょうか?
「小児矯正と一般的な成人矯正の大きな違いは、骨格的な不正(アゴが狭い・受け口など)を改善できる点にあるんです。つまり、小児矯正は、アゴの成長のコントロールが可能な成長期に行う矯正治療で、成人矯正はその成長が終わってから行う矯正治療というわけです」
アゴの骨に問題がある場合は、成長期にしか治すことができないので、早期治療が必要になり、その見極めが重要だという坂部先生。
「子どものときはすごく骨がやわらかいので調整することができますが、大人になったら残念ながらできません。では、その境目はどこなのか?それは、永久歯が生えそろう前まで(12歳くらい)なんですね。つまり、永久歯が生えそろってから治せる人もいるのですが、アゴの骨が狭かったり、受け口や前後バランスに問題がある人は、本当はそれより前に治しておかなければいけないんですね。ただ、小児矯正でのアゴの成長のコントロールにも限界はありますのですべての問題が完全に治るわけではありません」
2段階治療の小児矯正
では、小児矯正はどのように進めていくのでしょうか?
「2段階治療になります。まず、1期治療ではアゴのバランスや大きさを整える骨格矯正を行い、2期治療では歯の並びを整える歯列矯正を行います。1期治療は、アゴの骨がまだ柔らかい3歳~12歳くらいまでに行い、2期治療は、10~12歳以降の永久歯が生え揃って土台も整備した時点で、キレイに仕上げていくというアプローチになります。1期治療を行うことで、かなりキレイに並ぶことが多いので、2期治療が必要なくなったり、部分的な歯列矯正で済むケースなどもあります」
治療方法も1期治療と2期治療では異なります。
「アゴの大きさやバランスを整え土台を作る1期治療には、プレート式やブロックタイプの取り外し式の矯正器具を用いて治療します。それに対して2期治療では、ブラケット装置と言われる、固定式の装置を用いて永久歯の位置を整えていきます」
早期から始める小児矯正の場合、メリットも大きい一方で、デメリットもあるという坂部先生。
「小児矯正の場合、骨格的なところからの改善が期待でき、見た目だけでなく呼吸や発音、食べ方、姿勢などまでさまざまな発育の改善ができるうえに、将来、不必要に歯を抜くリスクが減るなど、メリットが多いのですが、最大の弱点は、治療が長期に及ぶということですね。さらに、小さいお子さんの場合、矯正器具の管理もできませんので、全面的な保護者の方の協力が必要になります。また、骨格的な問題をどこまで改善できるかも完全に予測できるわけではありませんので、治療期間が延びてしまったり、他の治療方法を追加しなければならないケースもあります」
撮影/岡村智明 構成・文/横田裕美子
お話を伺った人
医院情報
■麻布医院: 東京都港区麻布十番2-17-4 TEL:03-5439-5810(左写真)
■目黒医院: 東京都目黒区鷹番 1-15-3 TEL:03-3716-7790
■成城医院: 東京都世田谷区成城6-17-7 TEL:03-5429-1100
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