「小学校受験で何よりも重要視されるのが、子どものしつけがきちんとできているか、ということです。例えば、身の回りのことが自分で出来るか、挨拶や返事はきっちり出来るかです。しつけはできていて当たり前とされています。また、試験では聞く力(聴く力)も大切。子どもの傾聴力を育てるには、絵本の読み聞かせが最適です」(木下さん 以下同)
そもそもしつけが必要とされるのは、各家庭の教育方針が表れるから。同じ価値基準の共有が求められる私学では、それが学校のカラーとあっているかどうかが重要視されるのだ。
ところで、小学校受験をするなら、やはり幼児教室へ通うことは必須なのだろうか。
「あくまで幼児教室は、受験に合格するためのハウツーを学ぶ場です。幼児教室に通っていても、そのノウハウを実践するのは親。教室で習ったことは親子でフィードバックし、自分の子どもの特徴に合わせてフォローしていくといいでしょう」
木下さんによれば、家庭でみるべきことまで外に任せっぱなしにするのは、子どもの教育(成長)に悪いという。
「子どもの性格を考慮し、どういう教育をするべきか幼児教室の講師と相談したり、子どものサポートをしたりするのは親のすべきこと。教室にまかせっぱなしにしておけばいいやという考えでは本末転倒です。また、これに加えて子どもの能力を伸ばそうと早くから習い事にも通わせる家庭も多いようです。子どもの予定が習い事で一週間埋まっている、なんてこともあるようですが、これでは子どもが疲弊しきってしまいます」
実は、幼児教室だけでなく、家庭で学べることはたくさんある。例えば、おじいちゃんやおばあちゃんなどの親戚づきあいは、子どものコミュニケーション能力を育てるのに効果的だ。
「一般的に共働き家庭に小学校受験はハードルが高いと思われがちですが、生活のなかでできることをしっかり子どもに教えていけば、問題ありません。子どもと一緒に買い物に行き、お店の人と会話をしてお金のやりとりをするのも、コミュニケーション力と計算力が身につくよい経験です」
小学校受験のために身につけることは、受験をする・しないにかかわらず、これからの人生で歩んでいくうえで大切なことばかり。「受験」と身構えるのではなく、日ごろから親子で楽しみながら生活に必要な作法や知恵を学んでいく姿勢が大切なのかもしれない。
(石水典子+ノオト)