「最近の考査は行動観察・集団行動が中心となっています。体操や手先の器用さ、言語能力、他人との関わり方等の能力が備わっているか否かを仔細に観察されます。さらに、表現力、集中力、意欲もチェックされています。これらの内容で、その子が年齢相応に発達しているかどうかを総合的にチェックするのです」
こう教えてくれたのは、小学校受験に精通し、「e-ojyuken.com」のオーナーでもある木下健藏さん。
「さらに特徴的なのは、ペーパー試験が減っていることです。テープから流れてくる問題の聞き取りなど、傾聴力や指示行動の対応力を試す内容が増えています。この聞く力を伸ばすには、就寝前の絵本の読み聞かせがいいでしょう。重要なのは、楽しく読み聞かせをすることです。前日の絵本を読んでと言われたら、もう一度読んであげる。そんな楽しい時間を作ることが重要です」
とはいえ、何冊もの絵本を購入し続けるのは経済的にも負担になる。そこで頼りになるのが、「公共図書館」の存在だ。例えば、三人家族で図書カードを作るとする。ひとり5冊借りられると、子どもと父母の分を合わせて計15冊。返すまでの2週間で1日1冊読めることになる。
小学校受験といえば、面接も重要なポイント。気を付けるべき点は?
「基本的に面接は母と父と子の三者面談で、これは親の様子が見られる場です。経験豊富な校長先生は、部屋に入った瞬間にその子の合否が分かるといいます。面接は前日だけ練習しても、すぐにボロを見抜かれるもの。面接では夫婦がきちんとコミュニケーションが取れているかが重要です。練習はふたりで前々から行い、特に教育方針についてはきちんと話し合っておきましょう。たとえ教育方針が夫婦で相違していても、その内容が理路整然としていれば構いません」
また、自動車禁止のなか、試験当日に車で乗り付けるなどといった行動は論外。ルールが守れていない家庭(トラブルの要素を内包する家庭)と判断される。また、面接が終わった後も気を抜くのはNGだ。廊下やグラウンド、駅前で腕章をつけている教師が電車に乗るまでをチェックし、そのマナーを記録することもあります。
「基礎学力が学校の要求するレベルに達していることは最低条件です。協調性があり、集団行動のなかでトラブルを起こさない子かどうか、あきらめない子か、伸びる子かどうかも見られていますよ」
子だけでなく、親のマナーも見られる小学校受験。受験を通じて、家庭のありかたを見直すきっかけになるともいえそうだ。
(石水典子+ノオト)